出版社内容情報
あのマカオの地で――。生と死の極限の中、男はついに「一筋の光」をつかむ。著者初のエンターテインメント小説。千五百枚の超大作!
内容説明
老人が遺した一冊のノート。たった一行だけ書かれた、「波の音が消えるまで」という言葉。1997年6月30日。香港返還の前日に偶然立ち寄ったマカオで、28歳の伊津航平は博打の熱に浮かされる。まるで「運命」に抗うかのように、偶然が支配するバカラに必然を見出そうともがく航平。謎の老人との出会いが、彼をさらなる深みへと誘っていき…。緑の海のようなバカラ台には、人生の極北があった。生きることの最も純粋な形を求めて、その海に男は溺れる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
marco
69
「対岸の美しいネオンを映してゆらゆらと揺れている水面を見つめながら、そろそろ香港を出発しようかな、と思った」とノンフィクション『深夜特急 』「賽の踊り」で綴った26歳の沢木青年。そして、彼は乗合バスを乗り継いでユーラシア大陸の旅を続ける。『波の音が消えるまで』は登場人物も時代設定も異なるフィクションだが、「もしも」沢木青年がそのまま香港、そして、マカオにとどまっていたらあり得たかもしれない、と思わせる物語。ギャンブルに淫した酔狂な沢木耕太郎でしか辿りつけなかった到達点が、そこにある。2015/01/05
Tsuyoshi
68
サーフィン好きのカメラマンの男がたまたま行ったマカオのカジノでバカラに魅了され、道を極める求道者のようにバカラの世界に堕ちていく話。臨場感たっぷりの描写はもちろん、バカラだけに限らず出会った人々とのスリリングな展開も面白い。2018/07/11
starbro
58
処女小説ながら流石の沢木耕太郎450P超を一気に読ませます。トータルの感想は下巻の後で!2014/12/17
fwhd8325
48
沢木さんの初の小説。いよいよ、私の平成棚卸しも最後になってきました。なかなか、物語の魅力の波をつかむことができないまま、白川道さんの小説を思い浮かべたりしていました。元々、博打にはあまり興味がないこともあるかもしれません。それでも、主人公がバカラにのめり込むように、その本質がわかるのか、次第に前のめりになっていくのがわかるようになっていました。物語が動き始めたのでしょう。さあ、下巻に入ります。2019/04/11
のり
48
バリ島から香港経由で帰国するはずが、香港返還前日でホテル満室の為にマカオに移動。それが運命だったのか、ホテルに隣接されたカジノでバカラに魅了されてしまった伊津航平。サーファーで元カメラマンの過去をもち、配慮と観察眼に長けた航平だが、今までギャンブルとは無縁だった。バカラは丁半賭博に似た感じだが、賭けるまでの心理思惑等、奥深い。マカオで知り合った李蘭と劉さん。二人の過去も謎に包まれながらも、助け助けられで密接になっていく。秘密解明を楽しみに下巻へ。そう言えば日本のカジノ設立は流れたのかな?2016/03/04