出版社内容情報
樹木希林、橋本治、加藤典洋、平野甲賀……あの世に行った彼らとのつながりをかえってつよく感じる。80歳をこえて深まる読書の記。
内容説明
はじめての蟄居の日々。友だちは、あっちの世界に仲間入り―でも、本を開けばまた会うことができる。樹木希林、鶴見俊輔、多田富雄、橋本治、和田誠、加藤典洋、古井由吉、坪内祐三、平野甲賀…希代の本読みによる読書案内、しみじみと完結。
目次
樹木希林と私
不良少年の目つき
「どうしようもなさ」の哲学
往年の目力(読書日記)
黒い海の夢
ひとりでは生きられない
映画少年のなれの果て
黄色いアロハの夏がきた(読書日記)
もし目が見えなくなったら
かれが最後に書いた本
落ち着かない日々(日記ふうに)
新型コロナ下でカミュを読む
「こんどは熱中症かよ」の夏(読書日記)
わが人生の映画ベスト10 その一
わが人生の映画ベスト10 その二
いっしょに消えてゆく
平野甲賀の青春
著者等紹介
津野海太郎[ツノカイタロウ]
1938年福岡生まれ。評論家。早稲田大学卒業後、劇団「黒テント」演出、晶文社取締役、『季刊・本とコンピュータ』総合編集長、和光大学教授・図書館長などを歴任。著書に『滑稽な巨人―坪内逍遙の夢』(新田次郎文学賞)、『ジェローム・ロビンスが死んだ』(芸術選奨文部科学大臣賞)、『最後の読書』(読売文学賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
105
稀代の編集者である津野さんの随筆集。自身の「老い」を自覚しながら、先に鬼籍に入った友人たち(小沢信男、橋本治、池内紀、加藤典洋、平野甲賀各氏)を偲ぶ文章は、しみじみとした味わいに満ちている。特に、鶴見俊輔さんと彼に連なる人々(中川六平、坪内祐三、黒川創各氏)の思い出、そして、多田富雄先生の「寡黙なる巨人」を評した文章が印象深い。因みに、表題作の「かれが最後に書いた本」とは、池内紀「ヒトラーの時代」、加藤典洋「大きな字で書くこと」、古井由吉「この道」。著者自身の「最後」を意識しながらの渾身の文章である。2022/09/21
ぴかぴか
2
1938年生まれ84歳の評論家。かれ・・というのは一世を風靡した作家たち(私は知らない人ばかり)が年齢を重ねて高齢となりほぼ最後に書かれた本をよみあれこれ教えてくれる。読んでみたいなと思う本はほとんどない(難しそうなものばかり)けれど、なんといっても高齢者になり若いころは想像できなかった身体、思考の変化に驚き、悲しみ、怖い気持ちになること。これは作者はじめ登場する作家たちに共通することのように思った。キレイごとじゃない文章が身にしみた。巻頭は樹木希林さんの話題でこれがとっても良くって読み進めてしまったのだ2023/12/09
ぴかぴか
1
が・・難しかった。樹木希林さんの「人間てどっかに負けの部分があったほうが素敵だと思う」から続くページを読み返している。2023/12/09
mick
1
戦中をいつ、どの年齢で過ごしたかにより、物の見方考え方が大きく違うことがよくわかる。若い頃ピンとこなかった上の世代の人の生き方や、考え方が、一体どういうことで、どうしてなのかその一端がつかめた気がした。ナチスと日本の関係についてはもっといろんな本を読んで学びたいと感じた。2022/06/16
アンコ椿
0
懐かしい人がおおぜい出てきた。そして、次々とあの世へと旅立たれた。寂寥感、半端なし。2023/04/19