出版社内容情報
コロナ禍、戦争、ジャズ、映画、文学、反=現代、そして息子の死――。「筒井康隆の成り立ち方」を明かす最前衛の超弩級〈私小説〉集
内容説明
コロナ、戦争、文学、ジャズ、映画、嫌民主主義、そして息子の死―。かつてなく「筒井康隆の成り立ち方」を明かす超=私小説爆誕!
1 ~ 1件/全1件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
82
筒井康隆最新短編集。2017年から2021年に発表されたものが収められている。言葉の氾濫であり、言葉の乱舞である。それでいて、一編ごとに、文学や戦争やジャズや映画やコロナ禍の現実を語っている。タイトルの「ジャックポット」は「大当り」。SFを超えてしまうような現実こそ、大当りの年。そして、一人息子、筒井伸輔さんの死。昨年の2月に亡くなられていたのは知らなかった。最後を飾る「川のほとり」は、その息子との再会である。悲しみが溢れている。その事すら「ジャックポット」としてしまう筒井さんの文学性。超私小説集である。2021/02/21
いたろう
79
筒井御大、約5年振りの新作の14編の短編集。80代にして、ますます絶好調、暴走老人振りを遺憾なく発揮(笑) よくまあ、こんなに次々と言葉を繰り出せるものと、大爆笑の、機関銃のように畳み掛ける言葉遊び的な言葉、パロディの嵐。そんな中、最終話の「川のほとり」は、昨年2020年に亡くなった、御大の一人息子で画家の筒井伸輔氏に夢の中で会う話で、最近「新潮」に掲載され、話題となった短編が、もう収録されている。これは涙なくして読めない。まさか、筒井御大の小説に泣かされるとは。ちなみに、この本の表紙装画が伸輔氏の作品。2021/04/09
えか
75
もし、怖るべき博識とそれに伴う膨大なボキャブラリーと天才的な文才がある人物が歳をとり、リミッターが外れた親父ギャグを繰り出したら、どうなるのか。答え。この小説の筒井康隆が出来上がる。戦時下の兵隊たちの飢えや絶望感を描いた“南蛮狭隘族”には、以前『短篇小説講義』のゴーリキーの短篇のなかで現代文学的な表現として紹介されていた手法が使われている。すなわち、敵味方、上官下っ端の区別なく、全ての人称を“われわれ”とすることによって、戦時下の兵隊の無個性性。感情の消失。絶望より絶望な絶望感、などの感情が表現される。⇨2025/06/15
こばまり
66
気になっていた「川のほとり」でやはり落涙。あとはいずれも目を剥く舌を巻く。御年86歳の老人が書く文章ではない。ファンには周知かもしれぬが、バップ唱法など氏の創作スタイルに触れる記述に得心した。2021/09/18
coolgang1957
52
ぐったり疲れた🥱学生時代はキャッキャ言うて面白がってたはずやのに、年くったかなぁ😅この人の担当変酋者いや編集者は、文章に意見とか言えるんやろか校正できるんやろか、もう心配で心配で失禁しそうです🤣それぞれの話をレビューするのはもうしんどいので2つだけ感想、〝ニューシネマ「バブルの塔」〟の最終ページにでる作者お薦めの詐欺師たちの顔ぶれは、もう絶叫するほど嬉しい😆あとを継いだからって、まだ死らないでくださいね。〝川のほとり〟そうか、大切な人がいなくなった人には夢の中に居るって言ってあげれば良いのか。2024/03/14