出版社内容情報
姉が失踪した。意味不明のメモを残して。三人の妹たちの動揺と、それぞれの事情。独りでは生きてはいけない鬱陶しさと愛おしさを描き出した長篇小説。江國香織さんが選んだ! 新潮エンターテインメント大賞受賞作。
内容説明
東京に今年三度目の雪が降った夜、長女の艶子は出て行った。意味不明の小さなメモを残して。四姉妹の語りと日記から浮かび上がってくる、それぞれの息苦しさと生きにくさ。第4回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
著者等紹介
中島桃果子[ナカジマモカコ]
1979年、滋賀県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。卒業後、女優として舞台や映像作品に出演し、演出も手がける。その後、演劇集団「PU‐PU‐JUICE」に参加。現在は、テキスタイルデザイナーやシンガー、画家などの所属するGirls Art Project「Artistic Pantie」と劇団「モカティーナ夫人」を主宰。歌詞提供やクラブイベントの企画、ファッション・ショーへの出演ほか多様な活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
62
四姉妹の物語ですが、不思議で詩的な空気感を感じました。長女・艶子が詩のようなメモを残して家を出ることから物語は始まります。3人の妹たちの視点と艶子の日記から姉妹の性格や葛藤が見えてきました。姉妹だからこそのすれ違いとかってあると思うんです。それぞれが色々な想いがあって、それを回想していくのに凄く共感します。姉妹の持つ独特の空気が愛おしかったです。何だかんだ言っても姉妹っていいものだなと感じました。2015/03/22
なゆ
57
江國さんが選んだ新潮エンターテインメント大賞受賞作品ということと、〝平成の細雪〟という言葉に惹かれて。詩的でリズミカルな文章に心ウキウキ。四人姉妹の上ふたりは上京して二人暮らし、下ふたりは京都で両親と暮らしている。長女の艶子が突然行方知れずになり、残された三人はいろいろ考えたり悩んだり怒ったり、相談したりしなかったり、行動したりしなかったり。細切れな回想や会話から、姉妹たちのそれぞれの輪郭や過去も見えて来る。わかってるようで実はわかってない、でも分かり合いたい。姉妹も家族も、そんなもんかもしれない。2017/02/28
ぶんこ
54
初読み作家さんで苦手な文体で、読むのに疲れました。4人の姉妹がそれぞれ一人称でつぶやいているのが、一体誰がつぶやいているのかが中々わからなかったです。途中から文章の初めにある記号によってかき分けていると気付きましたが、作者の自己満足に思えて拒否反応の方が強く、物語に入り込めないまま読み終わりました。他の方々の感想を拝見して、これは私だけの感想と知り、恥ずかしいけれど、そのまま書き直さずにおきます。2017/03/09
飛鳥
22
東京と京都に離れて暮らす四人姉妹の絆や葛藤が描かれた物語でした。長女の艶子の家出を軸にして四人の姉妹のそれぞれの視点から見た姉、妹、両親への思いが気取らずに書かれていて楽しめました。自分たち姉妹にもある絆や嫉妬心への葛藤がよく分かりました。四人姉妹のなかの菓子に姉は似ているとか自分は棗タイプだなとか感情移入し易く読めました。たまにはムカつくけど姉妹たちといると楽しいって気持ちが伝わってきて楽しかったです。2017/02/08
なつ
21
最初、ころころと変わる視点についていけずムムムッとなったが、徐々にそれにも慣れて、4姉妹それぞれの感情などが見えてきて面白かった。喧嘩もするし、解り合えない事もあるけれど、きっとこの4姉妹は、根っこの部分はちゃんと愛情で繋がってるのだろうと思えた。姉妹であれ兄弟であれ、知っているようで、本当は知らないものかもしれない。2016/08/20