出版社内容情報
人類の歴史上、初めて構築された世界帝国ローマ――その一千年の興亡には20世紀を生きる我々の根源的営みの座標軸が全て刻みこまれている。〈新潮学芸賞〉
内容説明
ソ連崩壊、ヨーロッパ統合、民族紛争、アメリカの翳り、そして我が日本の混迷…。激動の20世紀末を生きる人類が遭遇する、あらゆる場面に送られる古代ローマ人一千年のメッセージ―。ローマ人は何故かくも壮大な世界帝国を築き、しかし滅びたのか。塩野七生の、情緒を排した独自の視点から展開される刺激あふれる物語。
目次
第1章 ローマ誕生
第2章 共和政ローマ
ひとまずの結び
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
49
ローマが全盛期アテネに視察団を送りながらあまり影響されなかった理由はいろいろあるだろうけど、筆者が言うように、傑出した一人の執政官による民主制を面白く思わなかったのかも知れない。信義を重んじるローマの平民は、「貴族が横暴なのは腹立つけど、かといって、ペリクレスみたいに民主制の面を被った独裁もイヤだ」と思ったのではないか、と勝手に想像する。周辺民族をどんどん受け入れるローマ人の特性は、良くも悪くも人間をアテにすることにある。ケルトに叩きのめされてから弱点を克服していく姿はすばらしく、お手本にしたいと思った。2013/04/07
James Hayashi
43
紀元前の話である(日本は縄文時代)。この時代に記録を細かく残していることに驚くが、第一次資料を読みこなし、読みやすく小説風に物語が進むので分かり易い。初巻はローマ誕生からの500年。この時代にして王制から共和制へ移行したり、要職を平民に開放するなど民衆が大切にされていると感じる。王政時代、7代で244年という期間にローマの基礎を築いているが、突出したリーダーは数少ない。同時代にはアレクサンダー大王、ハンニバル、ピュロスなど武力で名を挙げている。ではローマの繁栄とはなんぞや?続く→2017/11/07
kai
30
Kindleにて。諸条件が重なり未読書期間が長かったが、クリアできつつあるので、読書を再開した。このシリーズは以前から読みたいと思っていたが、なるほどこれは面白い。キリスト教を知らなかった時代のローマ人を書くのに、キリスト教の価値観を通して見たのでは(つまり西欧人には)書けないと激しくアジっている。初期ローマ人は、主に多神教の日本人と感覚が似ているのかもしれないと作者は言う。また軍隊をはじめ何でもシステマチックにする気質と行動原則を法律に求めていた2500年前、我が国は未だに縄文時代だったとは。う〜む。2018/03/24
ももすけ
29
ヨーロッパの歴史は、人名が同じようで中国史ほど興味がなかったのだけど、このシリーズは本当に面白い。紀元前にギリシャあり、ローマあり、多神教で外から入ってくるものを受け入れやすかった点は、日本とも共通点があるのではないだろうか。特に戦争の敗者に対して、市民権を与えたというのはすごいと思う。新たな力をどんどん取り入れたことにより、発展に繋がったのだろう。2024/08/28
yosa
26
FGOによる間違ったローマ観を修正するために読み始めた。嘘だけど。たぶんこの本は小説ではなく歴史書かなんかなのだろうけれど、読んでいて凄く面白い。カタカナが苦手で西洋人の名前が全然覚えられなくって学生時代日本史は得意なのに世界史は苦手だった人なのに、塩野七生さんの本は面白く読める。極論、内容が理解できなかったとしても、文体がとてつもなく素晴らしいので、文字を追うことに喜びを感じる読書になっているのだと思います。縁もゆかりもないイタリアの歴史だけれども、FGOのおかげでアウトラインはバッチリ(?)だしね!2018/01/23
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