日無坂

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 183p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103070610
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

跡継ぎになることを期待されながら父利兵衛に近づけず、反発し、離れていった。あの日から十年、長男の伊佐次はすっかり変わり果てた父とすれ違う。父は万能薬という触れ込みの妙薬をめぐって、大店の暖簾を守ろうとしていたのか、それとも…。親と子の、わだかまりと情を描き尽くす市井小説の名品。

著者等紹介

安住洋子[アズミヨウコ]
1958年、兵庫県尼崎市生まれ。1999年、「しずり雪」で第三回長塚節文学賞短編小説部門大賞を受賞、2004年、中短編集『しずり雪』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

文庫フリーク@灯れ松明の火

67
『知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい』ならば家族はどうだろう。生真面目で窮屈過ぎる意地っ張りの血。自分を曲げない似たもの同士・父と息子の心のすれ違い。父の営む薬種問屋の跡取りでありながら、勘当処分となり、名前も変えて無頼の道に踏み込んだ伊佐次。夕暮れに息子と気付かないまますれ違った日無坂。翌朝父は帰らぬ人となり、頑なだった心は友五郎親分の謎解きと、ヘタレな弟との交わりに溶かされてゆく。「生きるのが辛いか。でもな、のたうちまわって暴れてんのは、→続く2012/08/01

ぶんこ

48
利兵衛さんの心配、気苦労と、勘当された伊佐次さんの悔いとでハラハラしていたところに、待ってました! 友五郎さん登場。 頼りになります。 弟の栄次郎さんが、変に頑なでなく素直なのが良かったです。 伊佐次さんが我をはらず、今後も近くで兄弟手を取り合っていけたらと願ってしまいます。2015/04/19

天の川

15
『しずり雪』・『春告げ坂』と読んで…この作品も心に沁みる作品でした。ここまで読んだ安住さんの作品を通して、私の中ではやはり「父」かなと。世を去った父の思いや生き方を知り、再生していく子ども。利兵衛の軒行灯に対する考え方を誰よりも理解していたのは伊佐次だったのに。小さなすれ違い、会話の不足による誤解、道が分かたれた長い長い歳月。すれ違う日無坂で再び人生が交差し…息子に気づかなかった父の深い孤独。息子もまた。多分、二人の心に去来していたのは慙愧の念ではないでしょうか。弟と上る坂が春告げ坂につながっています。2012/09/08

むつぞー

14
『春告げ坂 小石川診療記』を読み始めた所、伊佐次という人物がとても気になりまして、ちょっと調べると別の話の主人公であったらしいと、慌ててこの『日無坂』を手にしました。 素直になれない似たもの親子だったのですね。このすれ違いがドラマでもあるのですが。 父親との道でのすれ違いをきっかけに、心のすれ違いをただす作品であったと思います。 父と息子の物語である一方、兄・伊佐次と弟・栄次郎の兄弟の物語でもあったし、そしてミステリな作品でもありました。 とても良い作品でした。2011/12/28

トラキチ

13
初安住作品でしたが、まるで現代ものを読んでるような感覚でスラスラと読めてしまう読みやすさには驚きました。 軸は親子愛ですが、私は兄弟愛も凄く印象的に描かれていると感じました。 ほとんど男女の恋愛模様が描かれてないのですが、読者を飽きささずに一気にラストまで読ませてくれます。 思わず自分自身の人生をみつめなおす機会を得ました。 作者に感謝です。2011/11/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/455290
  • ご注意事項

最近チェックした商品