白蝶花(はくちょうばな)

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  • サイズ B6判/ページ数 261p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103038320
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

昭和十九年、福岡県知事の屋敷に奉公にきた千恵子。華やかな博多の街、美しい令嬢・和江との友情、そして初めての恋。しかし戦争の足音は、千恵子のすぐ背後に迫っていた…千恵子の波乱に満ちた人生を縦糸として、激動の時代にそれぞれの愛を貫き通した五人の女たちが織りなす恋模様。戦前・戦中・戦後の日本で、恋に命をかけた女たちを描く純愛官能ロマン。第五回R‐18文学賞大賞受賞『花宵道中』の宮木あや子最新作。

著者等紹介

宮木あや子[ミヤギアヤコ]
1976年、神奈川県生まれ。東京都在住。2006年、「花宵道中」で第5回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞と読者賞を同時受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nico🐬波待ち中

105
大正の終わりから昭和にかけて、男尊女卑や家柄等の影響が色濃く出ていた時代の女達の連作短編。芸妓、妾、女中等、男の身勝手に振り回されて思うままに生きられない女達。けれど女達の情念は深く、闇のように底知れない。女達はただ男の言いなりになっているのではなく、自分の強い意志を持ち感情の赴くままに突き動く。そんな強かな女達の行動に、読み手の心も突き動かされる。短編が進むにつれ、行く末が気になっていた女達の状況も分かりほっとする場面も。宮木さんは『花宵道中』に次いで二作目。今回の作品も女による女のための物語だった。2018/03/22

カナン

63
「女」という生き物は、何故こうも業が深いのだろう。大正から昭和まで、その身を物のように売買される時代に振り回され、男に振り回され、孕んだ命に振り回され、けれども最後に女の烈しさに勝るものなし。戦禍によって火の海と化した東京を背景に、燃え盛る魂の咆哮。玉音放送の罅割れた残響。娘として、妻として、母として、女は時に獣となり修羅となり、慈悲深い神となる。待つことしか出来なくとも、ただ耐えることだけを強いられようとも、女は次の世代の国を背負う子を産み落とす。嫌悪も穢れも糧にする、げに恐ろしきは脆弱な女の情念なり。2019/01/04

銀河

59
よかった。大正〜昭和にかけての女の生きざま。初めはそうとわからないのに、短編4つが繋がっていて、この方よくご無事で…涙。みたいなことが何度か。女性が普通に生きていくだけで何度も理不尽な目に遭い、辛い思いをし、でも強く生きていく女たちがどうなるのか、気になって読み続けた。性描写が結構激しいけど、ストーリー展開上必要だし、そこを乗り越えれば深い愛情と大きな感動に包まれる。「親の気持ちも考えてみなさい」と言われた千恵子が問う「特攻隊員の親の気持ちを考えろと大本営の軍人に言ってくれ」の部分に激しく共感。2011/06/24

クリママ

54
4編の短編が読み進めるうちに繋がっていく。戦前から、戦争を経て現代へ、5人の女性が織りなす大河小説。貧しさから有馬へ売られた姉妹、父親の事業の失敗から財閥系の大物の妾となった娘、福岡県知事の女中として働いた女性と県知事の娘。女性の意思などなかったころ、不本意な道を歩まされつつも、官能の嵐に苛まれ、身ごもり、日々を懸命に健気に生きた女性たち。戦地で亡くなった人の無念さとともに、夫、兄弟、思う人を送り出した悲哀も胸に迫る。ストーリー、筆力ともに、優れた作品だと思った。2023/01/27

misa*

51
うわぁ…宮木さん作品の中でも、これは上位だな。4編の短篇だけど、少しずつ繋がっていて、中でも「乙女椿」が主流になる作品。もう途中途中で胸をグイっと掴まれてこの世界観に連れてかれる錯覚に陥り、想っても願っても届かない感情がまた切なくて、でもこの時代だからこその隔たりが、なぜか甘く引き込まれていく。最初の話はザ官能って感じなんだけど、最後には泣けるラストが待っていて、短篇なのに壮大な長編を読んだような読み応えだった。これは良い!2022/11/05

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