出版社内容情報
『隠された十字架』『水底の歌』、そして今、日本古代史を塗り替える新たな論考! 弥生期はスサノオ、オオクニヌシの出雲王朝が日本を統治していた――。
内容説明
ヤマタノオロチや因幡のシロウサギなどで知られる出雲神話、それは天皇家につながるアマテラスの系譜とは別個の、スサノオを祖としたもう一つの王家の物語である。もしこの王朝が歴史的に実在するものであったなら…『隠された十字架』『水底の歌』以来の、日本古代史を塗り替える衝撃的な論考。
目次
はじめに 出雲へ
第1章 出雲王朝はスサノオから始まった
第2章 オオクニヌシ―王朝を繁栄させた大王
第3章 考古学が語る出雲王朝
第4章 記紀の謎
おわりに 出雲大社の建造
著者等紹介
梅原猛[ウメハラタケシ]
1925(大正14)年、宮城県生まれ。哲学者。京都大学文学部哲学科卒業。立命館大学教授、京都市立芸術大学学長、国際日本文化研究センター所長等を歴任。92年、文化功労者。99年、文化勲章受章。主著に『隠された十字架』(毎日出版文化賞)、『水底の歌』(大佛次郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じゅん兄
21
日本史、特に古代史の魅力は、正解が不明なところに在るのかもしれない。著者も以前は出雲王朝の存在を否定していたが、この著書でその存在を肯定した。出雲神話をどう解釈するのか、アマテラスとオオクニヌシの国譲りをどう捉えるのか、人によって解釈が違い結論が違う、だから面白い。読んでいる我々も、一読者の立場ではなく、素人ながら研究者の眼で読み頭の中では自説を創造させている。そしてそこには2000年前の日本が、夢とロマンに満ち溢れ確かに存在している。2012/09/30
ユウユウ
19
論文というか、フィクションとノンフィクションの間、想像と論考の間を自在に飛び回っている印象。史実というのは誰にもわからない。その面白さを味わえる。2020/11/21
わたなべよしお
16
昔、大好きだった梅原猛さん。かつては興奮して読んだものだが、僕も大人になったのか。考古学って、あまりにも少ない資料、根拠を基に高層ビルを建てていないだろうか?と感じる。推定の上に推定を重ね、何十階建てにしている。一つ一つの推定はそれほど根拠がないわけでもないのだが、ビルの上に行くに従って根拠は薄くなる。だから時々、旧石器発掘捏造事件みたいに一挙にすべてが瓦解する。単なる読み物とするなら、面白いんだけどね。2020/05/11
あいら
15
かつて「神々の流竄」と言うご自身の本に出雲神話や日本の神話そのものを全くのフィクションであると述べていたのですがその後、出雲の遺跡発見などを経て、自分の書いた書物は誤りで出雲神話は実在したのではないかと考え直し、古事記と日本書記の記述、宮司さんからの話を聞き込み、発掘された遺跡などを丁寧に見直し、出雲王朝の存在を証明し、かつてご自身の論の誤りを論破したのがこの本です。 まずはその姿勢に驚かされました。 現地に足を運び、話を聞き、遺跡や神社、書物を見直しかつての自分の論を書き直す作業は尊敬の一言です。 2011/01/12
Tomoichi
9
「芸術新潮」に掲載されたものを加筆された作品だけあって写真がいい本です。最新の考古学や「古事記」「日本書紀」研究をもとに過去の自説を批判しながら古代出雲王朝の謎を著者の解釈により読み解く。実際古代については謎が解けることはないでしょう。しかし神話から続く国という事実は、変わらない。藤原不比等について書かれた箇所が一番面白かった。古代について日本人としてもっと勉強しないと反省した一冊。2016/08/07
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