出版社内容情報
たとえば人が、お椀ひとつに一万円も出すのはなぜなんだろう?
美しいものと暮らしたい、美しいぬりものを作りたい――。でも、美しいものって何だろう? 器、布、音楽、デザイン……。気鋭の塗師としていま注目を集める著者が、人気クリエイター14人の暮らしを訪ね、その美学に迫る。人とものとの幸福な関係を探る、思索に満ちた初エッセイ集。写真多数(撮影・小泉佳春)
内容説明
塗師・赤木明登の14人の暮らしと美学を訪ねる旅。思索に満ちた初エッセイ集。
目次
小野哲平/早川ゆみ―暮しが仕事 仕事が暮し
つのだたかし―静かな音楽
安藤雅信―融通無碍
ヨーガン・レール―自然
真木千秋―愛しい糸
山口信博―余白の奥行
松原隆一郎―いごこちのよい場所
仁城義勝―天恵を知る
平松洋子―「おいしい」を教わる
高橋台一―菓子屋が街を変える
李英才―しっかりしたもの
長谷川竹次郎/長谷川まみ―生まれる前の形 消えていく形
著者等紹介
赤木明登[アカギアキト]
塗師。1962年岡山県生まれ。中央大学文学部哲学科卒業後、編集者を経て、88年に輪島へ。輪島塗の下地職人・岡本進のもとで修行、94年に独立。97年、ドイツ国立美術館「日本の現代塗り物十二人」に、2000年には東京国立近代美術館「うつわをみる 暮らしに息づく工芸」に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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野のこ
40
装丁も紹介された方々、文章とすべてが美しい本でした。友人と過ごした素敵な時間。喧嘩をしてもみんなで餃子を作って大きな食卓で食べるっていいなぁ。家族ってあったかい。そうゆうあったかい人が作ったものは美しく光を放つと思う。人との出会い。感じる美しさ。「流れる雲や葉っぱ、雷、砂の一粒から満点の星まで命があるから自然は美しい、思う心の持った人間の作り出す道具も美しい」と言う考え方にぐっときました。哲学風なお話は難しかったけど良かったです。石垣の上にちょこんも座る高橋さんの写真にびっくり。ちょっと危なくないかい?2017/11/26
501
16
表紙のために器の本かと思い手に取り違っていたが凄く素敵な本だった。著者が友人であるデザイナーや陶工、音楽家、鍛金師らものづくりを生業する人々のもとを訪れ、彼ら彼女らのつくるものや生活から美しさとは何なのかをテーマに語った随筆。著者自身も漆師としてものを創造する。1ページ、1ページを丁寧にめくり内を静かにして読みたくなる。自分の生き方を積み重ねていった方々から見えてくる人生観は人生経験に乏しい自分には達観すぎてなかなかすんなり入ってかない。でもこうした文章に触れるのは純粋に楽しい。2019/02/10
森
9
陶工の安藤雅信さんの章に「美しさは、作り手自らをオリジン(起源)とする作品の中にあるのではなく、反復の中にこそ宿るのだと。」と記載がある。この反復とは、「写し」ということなど含む、長い陶芸歴史をも含んだ全体として、それが位置付けられているということを認識する。そういう事なのであろう。2016/07/11
邪馬台国
8
出逢いを呼ぶような美しい装丁・写真に惚れて読みました。漆工芸をつくられている著者のお知り合い10名を通じ、それぞれの持つ美意識や作品づくりの差異や共通した何かが浮かびあがってきます。工芸含み、今までなかなか近い存在になかった世界が素敵な作り手の語りを通じてぐぐっと近づいた一冊でした。2017/05/06
ユウティ
6
色々な作家さんのお仕事と生活のルポのような、エッセイのような本。手仕事で作られた素朴な品々がとても素敵。古いけれどお手入れの行き届いた日本家屋の隅で撮ったような写真もいい。2006年の本なので、最近のこういった本とは少し趣の異なる落ち着いた感じがまた良かった。2024/05/08