出版社内容情報
許されなくてもいい。だから優しく無視して。絶望的な幸福感とモラルの間で揺れる、18歳差の叔父と姪の愛の行方は――。弁護士の永遠子は33歳。結婚3年目の夫と問題のない関係性を保ちながら、18歳年上の実の叔父・遼一としばしば逢瀬を重ねている。しかし信じていた夫が浮気相手を妊娠させ離婚し、その後、惰性で付き合った若い恋人とも別れてしまう。子供の頃から抱く自らの叔父への歪な欲望に向き合った永遠子が気付いた唯一無二の愛とは。
内容説明
弁護士の永遠子は33歳。結婚3年目の夫と問題のない関係性を保ちながら、18歳年上の実の叔父・遼一としばしば逢瀬を重ねている。しかし夫が浮気相手を妊娠させたため離婚し、その後、惰性で付き合った若い恋人とも別れてしまう。ようやく子供の頃から抱く自らの叔父への歪な欲望に向き合った永遠子に、遼一がかけた言葉は…。唯一無二の相手への、抗えない渇望―全てを捨てて恋愛に生きられない私がたどり着いた、幸せな結末。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
153
弁護士として社会的な地位をもつ女性・松島永遠子は既婚の33歳。しかし幼いころから恋愛感情を抱いていた叔父である遼一とは逢瀬を重ねる関係。そんな二人が辿り着く結末とは―。物語の展開もさることながら、外からは見えない内在的感情や繊細な心情を比喩化して言語化し、読み手の心に点々と色を打ち、深く沁みこませる島本筆の絶品表現力は圧巻。終盤に登場する脇役らも永遠子の変容に影響する巧みな作品構成含め、強くも脆い主人公の心の揺れ動きに共振共鳴しながら小説世界を揺蕩う幸福。直接は描かれない書名の考察もまた味わいの一つだ。2025/05/05
いつでも母さん
148
―たとえ、この胸が はりさけるまで 叫ぼうと、所詮、天使の耳には とどくまい。―こんな愛に憧れるには随分と遠くに来ちゃった私だが、これはもうどこを切り取っても島本理生の世界(違う方が描いたら嫌悪するかも)私の10歳の頃の記憶にはこんな濃い感情は無かったが、2人の幸せは2人にしか分からず、2人だけのものなのだ。親とかモラルとか先に来る人には受け入れられないだろうが、たった一人理解して欲しい友がいる。「幸せ」の意味を考える本作『許されなくてもいい。だから優しく無視して。』この帯の一文が刺さる。2025/03/31
おしゃべりメガネ
128
島本さんワールド全開。彼女にしか書けない作品だと思います。18歳差のある叔父と姪の恋愛の話。島本さんらしい描写が続きますが、結果的には理屈じゃなく本能なんだと思い知らされます。浮気、不倫、避妊などかなりダークな雰囲気が続きますが、それでも最後までしっかりと読ませてしまうのは作者さんならではの筆力かと。再読したいかと言われると、正直本作に限っては一回読めればお腹いっぱいでした。人によっては嫌悪感が優先し、生理的に受け付けない作風かもしれませんが、やはり島本さんはただ者ではないですね。重厚な読書時間でした。2025/03/16
のぶ
114
本の帯に“究極のハッピーエンド”とあり、どんな展開になるのか楽しみに読んだが、これがそうなのか。自分には判断が難しい。理屈ではどうしようもできないほど誰かに惹かれ、永遠子は愛を貫いたけれど、たぶん危うい関係というのは、遅かれ早かれ道半ばで周囲の目線によって断絶してしまうのが現実なのだと思う。最終的に誰も傷つかないように美しく終わる物語。物語であるからそれでいいのだろうか?内容には考える余地がある作品だと思うけれど、久しぶりに読んだ島本さんの本は、登場人物の機微がとてもうまく描かれていて、良かった。2025/02/15
hirokun
85
★3 小説の表題からもう少し違ったテーマを予想していたので些か戸惑った読書となった。確かに恋愛小説なのだろうが私の好みとは違う傾向の作品であり、最後のハッピーエンドの言葉にも違和感が拭えなかった。作品の主題を読み取ろうと最後まで手寧に読み進めたが、私の持っている常識の為かよく理解できなかった。2025/02/28