内容説明
ダイヤー率いるミスカトニック大学探検隊は、南極大陸に足を踏み入れた。彼らは禁断の書『ネクロノミコン』の記述と重なる、奇怪きわまる化石を発見する(表題作)。一九〇八年五月十四日、ピーズリー教授の身に異変が起きた。“大いなる種族”との精神の交換がなされたのだ(「時間からの影」)。闇の巨匠ラヴクラフトの神話群より傑作八篇を精選し、新たに訳出。あなたに、眠れぬ夜を約束する。
著者等紹介
ラヴクラフト,H.P.[ラヴクラフト,H.P.] [Lovecraft,Howard Phillips]
1890‐1937。アメリカ・ロードアイランド州生れ。病弱で、少年期から幻想小説、怪奇小説に耽溺。30代から「ウィアード・テールズ」などのパルプ雑誌に寄稿。60篇ほどの作品を発表したが、単行本として刊行されたのは『インスマスの影』1冊のみ。不遇のまま生涯を閉じる。友人オーガスト・ダーレスらの尽力もあり、死後にその独自の作風が高く評価される。“クトゥルー神話”の始祖として、多くの作家に影響を与え、世界中の読者に敬愛されている
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年、東京生れ。東京大学大学院英語英文学修士課程修了。’93年、『酒仙』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。英文学者として翻訳・大学教育に携わりつつ、作家として小説を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
130
新潮文庫版ラブクラフト作品集第2弾です。南條竹則さんの訳で比較的長めの「狂気の山脈にて」「時間からの影」と「ダゴン」を含む8つの作品が収められています。創元文庫版に比べると南條さんの訳は読みやすいのですが若干怖さが薄れるのではないかという気がします。読み比べてみようと思います。2020/12/08
absinthe
120
クトゥルフ神話の短編集。『狂気の山脈』と『時間からの影』は中編?だが似た話を続けてしまった。編纂は気を付けた方が良かった。この年代は神や悪魔が最大の関心事ではなくなり、信仰の対象としての神や恐怖の対象としての悪魔は頂点の座を降りた。宇宙の巨大さ、自然の複雑さはそれまでの素朴な予想を大きく上回っていて、神の教えが答えを教えてくれる範囲がいかに狭かったか痛感した時代だった。キリスト教的悪魔も大宇宙的規模の深淵と比べると小物化してしまい、小説では宇宙的規模の恐怖を創設せざるを得なかった。2024/09/27
ehirano1
117
表題作について。「寝た子は起こすな」をラヴクリフトに書かせるとこんなにも壮大且つ、怪奇を味わえるという感じで満足感がありました。また、「漆黒の山脈」が上空から発見された時は、ラピュタで竜の巣が現れた時のBGMが私の中で鳴り響きました。2025/03/21
ゴンゾウ@新潮部
102
前作に引き続き読破するのに苦戦しました。漠然とした得体の知れない恐怖。想像力がないので頭に入ってきませんでした。【新潮文庫の100冊 2023】2023/07/20
HANA
86
「狂気の山脈にて」と「時間からの影」の二大長編を含む短編集。地球史というか宇宙史をオカルトの視点から再構成したこの二長編は「コズミック・ホラー」というものを体現していると思う。ただあまりにも遠大なスケールと台詞なしの地の文からなる衒学的な文章から読んでいると疲れてしまうのも事実。そういう意味では前半収録の諸編の方が好みかな。ラスト一行があまりにも有名な「ランドルフ・カーターの証言」や「ピックマンのモデル」「ダゴン」等の如何にもといった恐怖小説が揃ってるし。個人的にはHPLの小説を読めるだけで満足でした。2022/09/26