内容説明
彼女のためにテープを編集したこと、ありますか?彼氏からそんなテープを贈られたこと、ありますか?この本は、そんな貴男とそんな貴女のための小説です。もうからない中古レコード店を営むロブと、出世街道まっしぐらの女性弁護士ローラ。同棲の危機を迎えたふたりは、どんな結末を迎えるのでしょうか。英国だけで百万部を突破した話題のベストセラー、いよいよ日本に上陸です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
246
イギリスで100万部を突破したベストセラーらしいが、人口(日本の約半分)を考慮に入れると、じつに驚異的な数字だ。'70年代から'80年代のポップスやロック・ミュージックが頻出し、それが物語自体の軽快なリズムを支えてもいる。私に分かるのはビートルズくらいなのだが、アメリカンポップスを含めてイギリスで流行っていた音楽の数々が読者をも巻き込んで、かつての熱狂や興奮が甦らせるのだろう。その意味では、本書はまさにDJ小説とでも呼ぶべきものだ。プロットの展開はよくいえばポップでリズミカル、悪く言うとあまりに安直だ。2015/06/22
ケイ
120
30過ぎの主人公。前置きがやたらと長いのだが、結局は同棲していた恋人に出て行かれて落ち込んでいる状況らしい。しがないCDショップのオーナーは14歳からのガールフレンドについて話し始める。彼を泣かせているローラにくるまでが一番おもしろく、最後もなんとなくいいのだが、途中は圧縮して3分の2位の長さで十分だ。とにかく最初のキス、セックスの諸々について、誰とはどうだったか、なんて、語る相手が変われば興味も続くが、えんえんとローラになってくると、これはもう辟易した。訳者はやたらと同感しているのは、おかしい。2016/02/10
NAO
70
少年時代から大学時代まで付き合った女性たちから、精神面でも生活面でも多大なる影響を受けてきた30代半ば過ぎの主人公。人が辛辣になるのは、1自分の今の状況に満足していないから、2友人・仲間が自分よりずっと幸せな生活を送っているから、3自分が何をしたらいいのかわからないからだ。どうしようもないダメ男ロブが辛辣さを脱ぎ捨てて、ポップな音楽を媒介として幸せをつかもうとする。同時代の人間には、たまらなく親しみ深い作品だったのだろう。 2017/04/15
扉のこちら側
66
2017年265冊め。【311/G1000】90年代半ばからの物語とすると、主人公は現在50代半ばとなる世代。主人公の歴代のガールフレンド遍歴とUKロック。絶対に譲れない領域があって人に寛容になれないのに、自分のことはありのまま受け入れてほしいという甘さと弱さ。ダメ男がもてるのか。2017/07/19
みも
44
言い過ぎかも知れないがお粗末な内容で感想を書くのも煩わしい。いわゆるピーターパン症候群の35歳男が、極めて個人的偏狭な価値観で独善的に呟く手記といったところ。こんな空疎なものに、これ程のボリュームが必要だったのか甚だ疑問。傲岸なエゴイズム、露悪趣味、ひがみ心や自己憐憫。幼稚さが苛立ちを誘うばかりで心に響く何物も無い。文体は至極軽快…ところが、過剰な注解がテンポを阻害する。あたかもMCのトークを途切れさせるラジオ・ノイズだ。かと言って、注解が無ければ作品の価値を全く失うだろう…と、アマノジャクを言ってみる。2018/03/31