新潮文庫
チャイナ・メン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 553p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102200568
  • NDC分類 936
  • Cコード C0197

出版社内容情報

沈黙の襞の奥へと消えていった父祖の声に、想像力で顔と名前を与える――。移民文学の最高峰が奇跡の復刊。《村上柴田翻訳堂》19世紀から20世紀にかけてアメリカを目指して海を渡った中国人たちがいた。鉄道建設や鉱山労働に従事し、アメリカの繁栄の礎を築いたが、深い沈黙の向こう側へと泡のように消えていった――。その末裔として生まれた女性作家が、声なき声に顔と名前を与え、想像力と幻想で神話的に紡いだ一族の物語。伝説の翻訳家の訳も冴えわたる全米図書賞受賞作品。『アメリカの中国人』改題。《村上柴田翻訳堂》シリーズ。

マキシーン・ホン・キングストン[マキシーン ホン キングストン]

藤本 和子[フジモト カズコ]

内容説明

かつてアメリカを目指して海を渡った中国人たちがいた。鉄道建設や鉱山労働に従事し、アメリカの繁栄の礎を築いたが、深い沈黙の向こう側へと泡のように消えていった―。その末裔として生まれた女性作家が声なき声に顔と名前を与え、神話的に紡いだ一族の物語。伝説の翻訳家の訳も冴えわたる全米図書賞受賞作品。“村上柴田翻訳堂”シリーズ。

著者等紹介

キングストン,マキシーン・ホン[キングストン,マキシーンホン] [Kingston,Maxine Hong]
1940‐。アメリカ・カリフォルニア州生れ。中国系移民の家庭に生まれる。1962年にカリフォルニア大学バークレー校を卒業後、ヴェトナム戦争を忌避してハワイに移り住む。日本で翻訳された作品に『チャイナタウンの女武者』『チャイナ・メン』(全米図書賞受賞)がある。現在は母校で教鞭を執る

藤本和子[フジモトカズコ]
1939年東京生れ。『アメリカの鱒釣り』をはじめとするブローティガン作品の斬新な訳文は、のちの翻訳のみならず新しい日本の文学にも大きな影響を与える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

94
中国系アメリカ人版『百年の孤独』とも言える作品。ゴールドラッシュ、鉄道敷設を足掛りにした立身出世を夢見て異国へ渡った中国人たち。でも人種の坩堝の国で「彼ら」は存在は霞んでいる。そんな無視された「彼ら」の声はアメリカナイズという言葉では隠しきれない程のアイデンティティや歴史を響き合わせる。「私たちを忘れるな」と。「私たちは確かにここにいる」のだと。十把一絡になりがちなアメリカの理想と反する現実に対峙しながらも、故郷の色を持ちながらもしっかりと立って生活していき、家族を紡いできた彼らに敬意を。2017/11/04

ユーカ

36
いい本だった。自分に流れる血に苦しんだり、悩んだ経験を持つ人も多いと思うが、著者のキングストンは中国系アメリカ人二世でベトナム戦争の頃に青年期を過ごしていて、その苦悩は凄まじいものがある。書くことによって、その苦しみを昇華していくのだ。記されているものは、綿密に調べ、裏を取ったような物ではない。曾祖父や父が語るあやふやな昔話に、自らの想像力を合わせ、練り上げたものだ。その繊細な飴細工のような物語は、なんともエキゾチックな色合いで、初めて味わう種類の甘さがあった。2016/09/13

nobi

36
階層関係、因果関係の推量を理性というなら、この話は理性から解き放たれている。母の物語に聞き入る瑞々しい感性が広がる。移民の惨めな現実はチャイナの広大無辺と呼応する。現実と夢想、神話、比喩達が絡み合い、あらぬ方から現れ掴めたと思うとこぼれ落ちている。物語風「であった」英語直訳風「だろう」えっ!と思う“体言止め”。その混交の文体が、思考とイメージの飛び交う世界に似つかわしい。ただ「ヴェトナムの弟」はその自由をしばし置く。過酷な事実、だけの積み重ねが、かえって作者の更には歴史の悲しみの深さを知らしめて胸に迫る。2016/07/20

春ドーナツ

19
オリエンタリズムに満ちていて、きわめてカフカ的だ(「失踪者」も移民の話)。「いうまでもないことだが、わたしの父がそんな方法(密入国)でやってきたことはありえない」(87頁)この摩訶不思議な物語において、この一文を覚えていた方が良いのか、忘れる方が良いのか。「羅賓遜(ローブンソン)は騾馬であり労する男、裸でこつこつ働く身体、ひとりぼっち、息子にして孫、すべての世代が彼に含まれているのだった」(373頁)複数の一代記が交錯する/錯綜する本書を象徴する文章だと感じた。表題は「TVピープル」と同質の響きを覚える。2019/05/26

tokko

16
非常に読みづらいです。ストーリーが整っていないし、どこに向かっているのかも読み手にはわからないまま進行していく。そして突き放されたように終わりにたどり着く。アメリカという大国を築き上げる原動力として活躍した祖先に、言葉を与え物語化したことには大きな意味があるとは思う。けれど僕には読み手としての資質がまだまだ足りなかったのかなぁ。2016/08/15

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