内容説明
頭を割られた妻の無惨な遺体…その傍らには暴力癖のある知的障害の息子、クリスタルの灰皿。現場を発見した夫アダムの茫然自失ぶりを見れば犯人は明らかなはずだった。担当するのはかつて検事補を辞職し、今は屈辱的な立場で検察に身を置くレオ。捜査が進むにつれ、明らかになるねじれた家族愛と封印された過去のタブー。めくるめくツイストも鮮やかな、心理×法廷サスペンス。
著者等紹介
ジャーキンス,グラント[ジャーキンス,グラント][Jerkins,Grant]
成人発達障害者の権利を支援する仕事を10年間続けながら、稀少本の販売を手がける。『いたって明解な殺人』で作家デビュー。現在は妻と息子と共にアトランタに在住
二宮馨[ニノミヤケイ]
1945年静岡県生れ。慶応大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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*maru*
48
確かに『いたって明解な殺人』だった。彼女を殺したのは誰か。主題はとってもシンプルだ。しかし、シンプルなのにまったく先が読めない実に魅力的な構成だった。メインストーリーの間に何度か回想シーンを挟むことで、物語に厚みをもたせるとともに冗長さも回避。訳者あとがきにあるように、肩入れしたくなる人物が一人もいない。陰湿だし後味も良くない。なのに何この面白さ。リーガル・サスペンスとしての駆け引きやクライム・スリラーとしての緊張感も堪能。ただし爽快感は皆無なので、じめじめとした作品が好きな方におすすめかな。2019/09/04
椛
17
タイトル通りの作品。 そしてあとがきにもある通り、登場人物の誰にも好感を持てない! なのにも拘わらず、全部読めたのは何故なのか。そしてここまでねじれた愛しか存在しないのもすごいわ。 読んだことを後悔はしないけど、また再読するかと聞かれたら恐らくしないかな。2021/05/30
さつき
8
ギリギリミシミシと心理的にひねられ、ギッコンバッタンとひっくり返されて、最後の数行がとてつもなく怖い。2014/06/21
しろ
8
☆7 いたって明解なサイコミステリ。面白い構成で、複雑なサイコを明確に描いていたと思う。死んだ妻と知的障害の息子を見つけた夫アダム。一見単純明快な殺人事件に見えるが…?法廷ミステリとして展開されながらも、誰が犯人なのかが分からなくなっていく。そして現される真犯人とその狂気はなかなかに衝撃的。アダムの兄でいて弁護士のモンティや検事のレオを活かしたサイドストーリーが物語に厚みを生んでいるからより面白い。サイコミステリにしてはエンタメとしてレベルが高かったと思う。ちょっと軽いけど。2012/04/06
koo
5
精神疾患に病む妻の死体と傍らに暴力癖のある知的障害の息子を発見したアダムを主人公としたリーガルミステリ。300ページ強で纏まり非常にテンポよく読みやすいのですが事件から法廷まで展開が一直線な上主人公の考えがある程度あからさまなので展開が読めやすいのが難点、それだけ終盤のツイスト重視なんでしょうがもう少し上手く見せて欲しかったし各キャラクターを深く掘り下げて欲しかったですね。プロット派のリーガルサスペンスとしてはまずます及第点でした。あとがきではリチャードニーリィを挙げてましたが流石に褒めすぎかと(笑)2023/02/02
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