内容説明
イギリス労働党に入党し政治家としての階段を上りつめていくサーシャ。ヴェトナム戦争を経てアメリカの経済界で伸し上がっていくアレックス。やがて二十世紀が終わる頃、二人の進路は何かに導かれたかのように同じ場所へと向っていく。そこには野望と怨念が渦巻く世界が待ち構えていた。果して両者の到達点は―現代史を背景に、人生の偶然と宿命を奇抜なスタイルで描き出す空前のサーガ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
197
上・下巻、800頁強一気読みしました。ソビエト連邦崩壊から民主化に至るまでの大河ドラマ、何時もの著者のパターンかと思いきや、最終第七部にサプライズがありました。著者は、第七部を書きたいがために、800頁強を費やしたのかも知れません。2019/12/06
のぶ
78
下巻に入っても、二つの生活を選択したそれぞれの人生は続いている。イギリスに行ったサーシャは、イギリス労働党に入党し政治家としての階段を上りつめていく。一方、アメリカへ行ったアレックスは、ヴェトナム戦争を経て、アメリカの経済界で伸し上がっていった。時代も現代に近づき、自分の馴染みのある史実の世界に入っていく。二十世紀が終わる頃、二人の進路は同じ場所へと向っていく。アレクサンドルという一人の男が体験した二つの生き方。全体を読み通してラストにたどり着いた時、なぜか白日夢を見ているような印象を受けた。2020/01/04
のっち♬
75
「あなたとお母さまがもう一つのほうの木箱に入っていたら、いまとどう違っていたかしら?」イギリスへ渡り労働党に入党し政治家として成り上がっていくサーシャ、アメリカへ渡りヴェトナム戦争を経験して経済的にのし上がっていくアレックス、冷酷なソ連の影に付き纏われながらも、頭が切れ、したたかな両者。「人生をまったく異なる方向へ導く要因となる何かが起こったときを、人はだれでも指差すことができるはすだ」演説描写が長い点も著者らしいのだが、この唐突な幕切れと最後の一文には唖然。確かに離れ技、これを書く度胸があるのが著者だ。2020/04/02
秋風
67
二つの国に転がり込み約30年間。主人公が一人二役で政界と財界で登り詰めて行った姿はアメリカ.イギリス.ソ連の現代史に上手くフィットしておりお見事でした。二人のニアミスから最終章にかけては心臓がバクバクものでした。そして、最後の3行と二人の人物名を読んだ時、背中に冷や汗が💦。ロンドンとニューヨークの美術館や美術品が沢山登場して嬉しかった。年を跨いでしまいましたが、令和元年ラスト本です。2019/12/31
キムチ27
56
若い頃からかなりの冊数を読んできたからか、否で・・全く面白くない下巻だった。ページが進まず、リタイアしようかなとも。個人差あるようで大絶賛然り。ニュースダイジェストの文字面がページを埋めているようで個人の人生観、想い、大衆の心情があっちの方へ。それはそれで露・米・英を股にかけた男の表裏が浮かび上がり、画面の片隅にあの男が浮上して行く訳です。2023/01/13