内容説明
深更に響くノックの音―。それはキャスリンを絶望の淵へと追いやる序奏だった。夫が操縦する旅客機の墜落。ひとり娘と悲嘆に暮れる間もなく、不穏な情報が次々と彼女を苛む。さらに、夫が遺したメモからは耐えがたい現実が浮き彫りにされてゆく。平凡な暮らしを営んできた妻に問いかけられる家族の絆、そして“人を知る”ということの意味。全米で280万部を突破した痛切な長篇。
著者等紹介
シュリーヴ,アニータ[シュリーヴ,アニータ][Shreve,Anita]
合衆国マサチューセッツ州生れ。タフツ大学卒業。ハイスクールの英語教師を務めていた頃に発表した短篇でO・ヘンリ賞受賞。その後、アフリカでジャーナリストとして生活
高見浩[タカミヒロシ]
東京生れ。出版社勤務を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みも
76
素晴らしい。読後の余韻に浸りながらも、痛切な問いにしばし思考は放恣状態。エピローグには潔さと希望もあり、重苦しいばかりの読書にはならない。翻訳も良い。時折耳馴染みのないワードが挿入されるが、それは翻訳の難しさとして許容範囲であり、決して作品それ自体の瑕疵にはならない。現在と過去を交互に描きながら、彼女の内奥にその時々に萌芽した疑念を回顧させつつ読者に問いかける。夫と妻とのこの微妙なズレは、歳月がもたらす倦怠なのか、それとも愛情の希薄化の兆候なのか。そして、人は人を完全に理解し得るのか。コメントにネタバレ…2024/03/11
よーこ
12
"人を知る"とは何なのか。主人公・キャスリンは、パイロットの妻である。ある日、夫の操縦した飛行機が墜落する事故が起きたと告げられる。家庭は円満で、夫のことは何でも知っていると思っていた。でも夫が死に、次第にこう思う。「夫のことをどこまで知っているのだろうか。」夫は浮気していた?嘘をついていた?追い討ちを掛けるかのように明らかになる、夫の知らない素顔。最初は悲嘆に暮れていたキャスリンは、最後にはもう悲しんでいない。「その正体を自分が知らなかったかもしれない人間のことを、どうして悲しむことができて?」2016/07/19
woo
9
プロット、登場人物の描写共に稚拙。駄作です!2017/08/21
ZEPPELIN
4
訳者さんで選んでみた作品。残念ながら期待はずれ。訳はまず問題ないのだけれど、無駄に長い無駄な描写・全く必要性の分からないエピソードの挿入・終盤での意味不明などんでん返しという、残念なアメリカ作品にありがちな三拍子を見事に備えてしまっている内容がよろしくない。現在と過去を交錯させるスタイルも、その切り替えのタイミングがよく分からず。サスペンスとよべるような緊迫感があるわけでもなく、たとえ家族でも全てを知ることは出来ないんですよということを言いたいのだとしても、これはやはり冗長2014/12/03
yos
3
他人のことをどこまで"知る"ことができるか。夫の信じられないような側面が、事故を契機にして次々と暴かれ、妻は哀しみと失意と混乱に翻弄される。人が人を知るということ、信頼、裏切り、日常生活の崩壊、哀しみ、それから再生。パイロットの妻の心情を追体験しながら、最後まで飽きずに読むことができた。この本は、事故にまつわる秘密を説き明かす側面から読むのではなくて、夫に裏切られた女性の心情に共感しながら読むのが正しい読み方なのだろう。プロットがしっかりしていて、感情にリアリティがあり、よくまとまっていた。2006/02/18
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