内容説明
大の犬好きだった作家が飼っていたフォックステリアのイリスに、かわいい小犬が生まれました。名前はターシェンカ。やんちゃでいたずらな彼女に、作家はもう夢中です。毎日の成長の様子を、写真に撮ったり、肖像画を描いたり、あげくは小犬のためにおとぎ話まで作る始末。世界中の犬たちと、そして犬に手を焼きそれでも犬がかわいくてたまらないすべてのひとたちに贈る愛犬ノート。
目次
ダーシェンカのための八つのおとぎ話(犬の尻尾についてのお話;テリアが地面をひっかくわけ;フォックスについて;アリクについて;ドーベルマンについて;グレイハウンド、そしてほかの犬たちについて;犬の習性;人間について)
ダーシェンカ・スケッチブック
小犬の写真を撮影するには
ダーシェンカのアルバム
カレル・チャペックとダーシェンカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
90
著者のチャペックは「ロボット」という言葉の考案者として名高いチェコの作家だが、『園芸家12カ月』などエッセイストとしても多くの読者を持っている。本書は、そんなチャペックの生れたばかりの子犬の観察記。いつもながら、生きる者への情愛にあふれた筆致だ。ことに子犬との別れ(他の家に貰われてゆく)を描くエンディングが、さりげない中にも一抹の寂しさをたたえ、犬好きの誰もが共感するだろう。ちなみに、この子犬ダーシェンカは、ワイヤーヘアード・フォックステリアなのだが、当時流行の犬種だったらしい。2013/05/15
NAO
66
【戌年に犬の本】ワイヤーヘッド・フォックステリアの子犬が産まれてからもらわれていくまで。その間の子犬の様子が、動物の話をたくさん書いている作者ならではの観察眼で詳細に記されていくのだが、そこに子犬への溺愛ぶりが加味されていて、なんともほほえましい。もらわれていく子犬のための八つのお話も、母性(父性?)にあふれている。それに、なんといっても、作者自身の挿絵が可愛い。ダーシェンカに対する愛情いっぱいの本。もらわれていったあとは、本当に寂しかったことだろう。2018/05/29
meg
25
なんてかわいい本なんだ!カレル・チャペックのまなざしはやはりやさしいよ。2024/09/13
KI
23
世界に平和と混乱をもたらすのは結局こいぬだよね。2019/07/08
kochi
18
生まれたときは、手のひらにかくれてしまうほどちっぽけな白いかたまりのだったダーシェンカ。チェコの作家、チャペックによる絵と写真と文章によって小犬のダーシェンカをとらえたおとぎ話と絵本のような小品。プロではないが、味のある線で、生まれたばかりの丸っこい輪郭の小犬の絵がいい。元々は一冊の本だったという『小犬の生活 ダーシェンカ』と合わせて読むのがオススメ。戦前の本なので難しいかもしれないが、オリジナルをいつか読んで見たい。2019/03/24