感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
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実在主義をもって人間とはなにか? を問うている人間学であるのだが、それなりに形而上学の知識がないと難解であろう。実在する人間とは、他人に働きかけてはじめて、そこに実在する。実在するためには自身にしかわらない目的が必要である。その目的に向かって行動し、計画を完遂したとき、目的は自分の中から失われる。そのとき、正しく目的が他人に伝わっていれば、形而上学でいう普遍性や永遠性は担保されるし、死さえ乗り越えられると夫人はいう。しかし、目的が他人に伝わることと、他人がそれに沿った行動を起こすかは別の問題である、と。→2016/09/06
イプシロン
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(再読)本著はおそらく二つの部分に別けられるだろう。前半は人間という実存とは何かという問いと答え。後半は実存的人間であるためには絶対的に他者を必要とするが、他者という存在それ自体には一切干渉できないものだと語っているのだろう(言語や行為を通して、他者に献身したり犠牲になることは出来るが、それは存在そのものによるのではなく、あくまでも行為によるものと、筆者は存在と行為を別けている)。だが、ここを解釈するのが非常に難しいのではないかと。つまりは、自己という存在(地図上にある現在地と、向いている方向を示す矢印)2022/08/26
km
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人間が享楽を感じるのは、現状の自己を超越する瞬間に限られ、そのために人間はある地点に自己を超越させる計画を繰り返し持ち続ける。超越の繰り返しに疲れて第一線を脱したとしても、それもひとつの超越であり、脱したからといって自由意志が萎縮し、静止した自己に満足できるかというとそうではない。人間は人間の条件である自由性から逃れることはできない。この次はどうする、さらにその次は、を繰り返し、この繰り返しに意味はあるのかと空虚になるも、それから逃れることはできない。またこの営みには他者が必要となる。お互いの享楽、行為→2017/08/10
壱萬弐仟縁
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1944年初出。人間の尺度、どんな目的を立て、どんな希望が人間に許されるのか? と冒頭で問題提起される。不幸にいると、人間は自分の愛着を否認する(15頁)。人間が企てる以上、幸福は快楽と同様、企てでしかない(34頁)。たくらんで幸せが実現するようだ。人は死ぬ ために(傍点)存在せず、理由、目的なく、存在している(81頁)。あるからあるし、いるからいる。それだけだ。それでいいじゃないか。われわれの行為を引き受けなければならないのは、不安定と危険の中において。ここに自由性の本質がある(154頁)。2015/09/19
もちまる
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自由な意思が大事。それぐらいしかわからなかったなー。2019/07/07