内容説明
開戦2ヵ月で未亡人となり、アトランタでの銃後生活に明け暮れるスカーレットへ、封鎖破りで巨利を占める風雲児レット・バトラーが次第に接近をはじめた。南軍は苦戦を強いられ、アトランタ陥落は目前に迫った。メラニーの出産で身動きならぬ彼女のもとへ、バトラーが馬車で駆けつけ、あやうく戦火を逃れるが、身も細る思いでようやく帰りついたタラは、すべてが一変していた―。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
388
南部の世界は瓦解に向かい、そしてスカーレット自身の運命も激変する。この巻では戦争そのものがあたかも主役であるかのようだ。日本では南北戦争と称されるが、アメリカでは"Civil war"であり、それは文字通りに市民同士が殺し合う内戦である。作中でもレットの言葉として語られるが、奴隷解放云々はあくまでもその一部であり、実質的には北部の金融・工業資本と南部の大農プランテーションとの経済戦争に他ならなかった。本書は、この戦争を南部の側、しかも女性を中核に据えて描いたという意味では実に貴重な作品であろう。 2018/12/12
ケイ
148
女性から見た戦争だ。南北戦争だから、戦火がすぐ隣にある。身近な、無邪気だった若者たちが亡くなっていく驚き。最初の勇ましさは、どこにいったか…。その中ではみんなかわっていく。スカーレットは責任感に目覚め、強くなる一歩を踏み出すが、彼女はその一人だったのだ。私はメラニーが愛おしくてたまらない。彼女のような、弱そうで、男の庇護が必要に見え、しかし、他人の悪意より善意を信じ、周りの人を惑わすほどの優しさと善良さをもつ人を悪く思うスカーレットに嫌気がさしていたが、ようやく好きになれそうになってきた。2017/10/04
nakanaka
80
未亡人となったスカーレットは最愛の人の妻であるメラニーと思いがけず暮らすこととなり複雑な心境の中日々は過ぎていきますが、そんな中、南軍が遂に敗れ、またメラニーの出産が重なるなど怒涛の展開が続き引き込まれました。戦争の悲惨さや劣悪な衛生環境などの描写が非常にリアルでそういった点も読みやすさに繋がっていると感じます。レット・バトラーの助けも借りながら命辛々タラに戻り、オハラ家の大黒柱になる決意をしたスカーレットの今後の展開に期待です。2021/05/06
美雀(みすず)
67
スカーレットは燃えるような気性をしてるけど、本当はとても優しい女性でもあるんだなぁ。態度には決して出さないけど、それが彼女らしいって思う。慈悲深い女性といわれるメラニーだけど、スカーレットにベタベタすぎるし、頑固な面もあるし。まぁ、この二人の女性の様子を観るのが面白いなぁと思う。2014/10/05
のっち♬
65
スカーレットのアトランタでの新生活の模様が描かれる。「わが情婦となりたまえ」レットとの軽妙なやりとり、アシュレとの離別の場面が印象的。戦いへ赴く男たち、メラニーの出産、迫りくる戦火、荒廃したタラ。時代背景とストーリーは緊密に結びついていて、どの場面も緊迫し、臨場感がある。「ここでしっかりしなければ」茫漠とした一日、タラへの旅路は彼女を「どんな重荷にもたえうるほど強い」一人前の女にする。徐々に効果を発揮する対比的で緻密な人物描写と共に、力と呼吸のつづくかぎり戦う彼女の成長と魅力に一層引き込まれていく第二巻。2020/07/17