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新潮文庫
コールドマウンテン〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 334p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102029121
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

深窓の令嬢であるエイダは、コールドマウンテンでの生活にようやく慣れてきた。そんな折、牧師である父が急死。彼女は生活手段を失い、明日の食物にも事欠く事態に。しかしインマンの帰りを信じ、この地にとどまることを決意。そんな彼女のもとに謎の少女ルビーが現れる。ルビーの援助で次第に大自然で生きる術を身に付けるエイダ。そしてついに、インマンが帰る日がやってきた…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

327
読了後は、そこはかとない寂寥感に包まれる。そして、なんと理不尽なというやるせない思いにも。1997年の作品なのだが、そこにはその年代相応の現代性は全くと言っていいほどに見られない。先入観を捨てて見るならば、およそ50年ばかり遡行した、スタインベックの時代の小説といった趣きだ。そうは言っても、火傷の少女や荒野の老婆、あるいは熊のエピソードを巧みに盛り込んでいきつつ、そこに市民戦争の非情さを浮かび上がらせてゆく手法は、ノスタルジーを喚起させながらロマネスクな小説世界をそこに形成してゆく。こんなアメリカもある。2017/11/28

ケイ

122
激しく胸を揺さぶられた。恋愛小説だとしたらエイダが不憫だ、私はそう思う。流れるのはノスタルジー。かつてあの土地に住んでいたもの達への。生きること食べることは、スタインベックのようにその時代に居合わせた人達が体感した過酷さとは違い、自然と生きることへの賛美。執拗に細かく書く描き方は、これを忘れてはいけないとの作者の訴え。どんなに過酷なことがあっても暖かい思い出で生きていけることがあると作者は言う。ふと首に触れた手の温もりがその後を救ってくれると。そうかもしれない。そんなのは甘すぎる考え方かもしれない。2016/08/12

Yoko

12
インマンの長い、苦難の旅が終わりました。エイダが経験し、学び、そして自身と向き合いながら重ねた日々もまた旅。2人とともに旅をしてきた私を待っていたのは‥‥‥。描かれる様々な人との出会いと丁寧な自然描写は示唆に満ち、一読では吸い上げきれない自分が歯がゆい。再読必至です。2015/09/19

Ribes triste

11
そしてインマンはついに故郷に帰り着く。逞しく美しい生が描かれているからこそ、殺しあうことの無意味な残酷さが際立ってくるのでした。単なる恋愛小説で終わらない、力強い物語でした。2017/08/27

🐾ドライ🐾

10
インマンの体験した戦争と故郷への道中は過酷で、人間性を保つことができたのはエイダとの再会という目的があったからだ。ルビーの影響で記憶にあるエイダとは変わっていたが、少しずつ親密になる様子は、表紙のように情熱的に燃え上がるというより熾火のように描かれる。 落ち着いた恋愛小説であり、インマンが道中で出会った人たち(幸せとは縁遠い)を思うと、時代を反映した優れた人間ドラマでもある。2018/03/27

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