内容説明
昭和20年3月10日。一夜のうちに東京の下町一帯を焼け野原に変え、10万人にのぼる死者で街や河を埋めつくした東京大空襲。自身被災者でもある編者は「東京空襲を記録する会」の仲間と共に、戦後長らく埋もれていた資料を発堀し、空襲当時の模様を正確に再現した。元警視庁カメラマン石川光陽氏らの貴重な写真を得て、一般庶民にとって戦争とは何であったのかを訴える文庫版写真集。
目次
被災者は今も地中に眠る
はじめての東京空襲
東京大空襲の夜
大空襲の惨禍
空襲被害の全貌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
33
文章と写真が戦争の悲惨さを伝えてきます。特に写真は衝撃的なものであり、無差別爆撃により民間人を殺害した米軍は明確に戦争犯罪をしていると思います。今の戦争もますます軍民の区別はなくなっていますので、戦争にならないためを考える機会を与える一冊と考えます。また吉村昭さんの体験談も印象に残りました。2023/01/06
へくとぱすかる
32
昨日読んだ、早乙女さんの「火の瞳」は児童文学として書かれたものだが、実際の空襲の記録写真を見ると、むごたらしさは百倍にはなるだろう。地上に現れた地獄としか言いようがない写真。人間が焼き殺されて、丸太のように折り重なっている光景など、思わず目をそむけたくなる。しかしこれが、無差別爆撃の行われた戦争の現実なのである。空襲の始まりは、ピカソが怒ったスペインのゲルニカであり、これに続いたのが、日本の行った中国への爆撃だという。たとえどんな理由があっても、非戦闘員を巻き込む攻撃など、二度と繰り返してほしくない。2015/08/29
馨
30
相当残酷です。聞いたり勉強した想像をはるかに超えていました。焼き殺された都民のご遺体が、かろうじて形で腕や足があるから人ってわかりますが、もう人じゃなかったほど真っ黒でススになっている。当時日本全国でこんな風景だったのかと思うと自分だったら生き残っても立ち直っていけるだろうかと思います。進駐軍の人たちは、自分たちが空から落とした爆弾で焼け野原になった東京を見てどう感じたのだろうか。2015/08/09
スー
22
56こちらは空襲の写真が沢山のっています。こんなに沢山の遺体の写真を見るのは初めてで東京大空襲の本3冊目で馴れたかと思っていましたが大分堪えました。焼け焦げた遺体はまるでポンペイの石灰遺体像を彷彿させられ黒いか白いかの違いで死んだ時の姿勢のまま硬直した遺体は苦悶の表情を浮かべ痛々しく心を掻き乱されました。子供の遺体が側にあった女性の遺体は背中だけ白いままで最期まで子供を背負い必死に逃げていたのでしょう。本当に鬼畜の所業です。この本は公平で日本軍の行った重慶の空爆の被害者の写真ものっています。2019/04/10
akinbo511
15
小学校の社会科見学で行った下町の慰霊施設のような場所で、ものすごく怖い思いをしたので、大空襲の記録に積極的に触れるのは避けてきたけれど、さすがに数十年が過ぎたので落ち着いて読むことができた。解説文は期待したほど詳細ではなかったが、写真が多いのが良かった。山の手側の我が家近辺も焼け野原になったらしく、親に写真を見せてもらって知識としては知っていたが、日付までは知らなかったので、この本を読んでよかった。 2014/04/24
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