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新潮文庫
調律の帝国

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  • サイズ 文庫判/ページ数 190p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101473246
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

神社爆破と警官殺害で独居専門棟に収監された過激派政治犯Sは、その処遇をめぐり「担当」と呼ばれる看守部長と常に対立。苦情を申し入れても却下され、リンチ同然の暴力を受けるなど絶対服従を強いられた。小説を書くことで生きる望みを見出すSはやがて、看守も所詮、刑務所という閉鎖社会でしか生きられぬ「囚人」に過ぎないと考える。凄まじい獄中描写が大反響を呼んだ問題作。

著者等紹介

見沢知廉[ミサワチレン]
1959(昭和34)年東京生れ。非行、不登校から17歳で過激派セクトに入る。三島十回忌の憂国忌に出た縁で新右翼活動に転向。「民族派最大のイデオローグ」と言われつつゲリラ組織も指揮。英大使館焼打ちやスパイ粛清事件などで逮捕され、千葉刑務所ほかに12年間収監、満期出所した。出所直前の’94(平成6)年「天皇ごっこ」で、永山則夫や佐木隆三らも受賞して作家デビューのきっかけとなった新日本文学賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

50
文学。実録ものかと思いきや読み進むうちにやっと違うことに気づく。著者は長い間刑務所で服役していたから本書に出てくる、まるでその現場に直面したような感情が実感できる。長期にわたり拘禁されると肉体的にも精神的にも変調をきたすのがほとんどらしい。獄中での生活がどのようなものか、看守と囚人との対峙など読みどころが満載で一気読み。普段は読みにくい部分はすっとばす私もこの本はじっくりそして一気に読むことができた。できれば狭く窓のない部屋で読むことをおすすめしたい。2015/09/26

半木 糺

7
「監獄」という極限状態の中で、主人公は自らの「罪」を告白し清算し、祓い清めるために、そして何よりも「自己の存在証明」のために小説を書き続ける。小さな獄の中で世界と自己に向き合い続ける主人公の姿はそのまま著者の姿でもある。そして「書く」という行為が完全に禁じられると主人公は崩壊する。「書く」という行為、「文学」というもののありようをここまで真摯に捉え切った作品は他に類を見ない。まさしく本書は本当の意味での「文学」そのものである。今更言っても仕方が無いだろうが、本書に三島賞を受賞させるべきではなかったろうか。2013/05/01

出世八五郎

6
故・見沢知廉さんは同じネタで3,4作品ほど書いてる。これもそれ。けど、面白い。

白檀薫る

4
長い獄中生活の、拘禁による後遺症に悩み、肉体と精神はついに解放されず、自死に至った見沢知廉氏の作品の中でも秀逸な一冊です。

YO)))

4
タイトルが秀逸。「囚人狂時代」をハードボイルドに煮詰めて、緊迫した密室=監獄での、作家のレゾンデートルを賭けた魂の鬩ぎ合いを描き出した力作。この作品が体験記からの離陸だとして、この先にもっと三沢にしか書き得ない文学の地平が広がっていたのかもしれない、と思うと、やはり早すぎる死が惜しまれる。2013/09/06

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