内容説明
「父を斬れ。斬らねばおまえの生きる場所は、この世にはない」。謎めいた祖父の遺言を胸に、日向景一郎は流浪の旅に出た。手挟むは二尺六寸の古刀来国行。齢十八の青年剣士は赴く先々で道場を破り、生肉を啖い、遂には必殺剣法を体得。そして、宿命の父子対決の地、熊本へと辿り着く―。獣性を増しながら非情の極みへと向かう男の血塗られた生を描く、凄絶な剣豪小説シリーズ、第一弾。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947(昭和22)年、佐賀県生れ。中央大学卒業後、’70年に『明るい街へ』でデビュー。’81年の『弔鐘はるかなり』で脚光を浴び、’83年『眠りなき夜』で日本冒険小説協会大賞、吉川英治文学新人賞受賞。’84年に『檻』で日本冒険小説協会大賞、’85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。’89年から歴史小説にも挑み、’91(平成3)年『破軍の星』で柴田錬三郎賞受賞。2006年、『水滸伝』全19巻で司馬遼太郎賞を受賞。’07年、『独り群せず』で舟橋聖一文学賞を受賞。’10年、日本ミステリー文学大賞受賞。’11年、『楊令伝』全15巻で毎日出版文化賞を受賞。’13年紫綬褒章受章。’16年、『大水滸伝』シリーズ全51巻で菊池寛賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
44
鮫と闘って肉を食べたり、海に潜って波を斬り、泳ぐ魚を木刀で叩いて獲ったり、蛇を腕に巻き付け骨を折って焼いて食べたり、なかなか野性的な旅をしながら父を探す景一郎。ムルハーン千栄子さんのエディプス・コンプレックスとライアス・コンプレックスに絡めながらの解説もおもしろい。父に勝つことで、一段階強くなった景一郎は遺された森之助を背負って旅を続ける。こんなオープニングだとどうしても続きも読まなくてはという気にさせられてしまう。2019/06/18
眠る山猫屋
44
再読。蛇が美味しいというエピソードを最初に知ったのは、ゴールデンカムイでもファブルでもなくこの物語だったなぁ。父を追い討ち果たすという宿命を背負わされた日向景一郎は、序盤まだ十六歳くらい。真剣の立ち合いに失禁してしまうくらいのメンタルです。命のやり取りを重ねていくうちに、魔神のような剣士に育っていく。というか、独りで育ったのか。だから彼には人間的な感情が希薄。けだものは初恋すらままならない・・・。けだもの道を一直線な景一郎、悲壮です。2019/05/30
Nobuko
5
再読 1-5巻まとめて貸してくれたので1から再読 北方節は読みやすいけど いまひとつ主人公にのめりこめない だから2でやめたのかなぁ とりあえず今度は5巻までよんでみようっと2021/09/26
kinghaya
5
★★ 書店で続編が出ていたので、本棚を見たら、平成8年の初版が出てきた。確かに読んだ気がするなぁ、と思いながら再読。この巻がシリーズの中で一番面白いと思う。2019/06/20
あさえ
5
安定の北方。章で区切って旅が進んで行くのは読みやすかった。水滸伝とは違い、景一郎が淡々としている様もすぐに慣れる。そして相変わらず北方作品の男共はあちらの方もお強いのです。2019/06/24