内容説明
バブルの傷跡が癒えない銀行は、貸し渋り、貸し剥がしに狂奔を始めた。アパレルメーカーの常務を務める東亜銀行OBの若木豊も、同期入行で今はゼネコン副社長の臼井久貴も、バブル時代の債務と出身行のすげない対応に苦しめられていた。傾きかけた企業に群がる闇の紳士たち。そして彼らとのしがらみを断てない銀行のトップ。事業の生き残りを賭けて、男たちの熱い闘いが始まった。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954(昭和29)年、兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。梅田、芝の支店を経て、本部の企画、人事部門に勤務。’97(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年に、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。’03年3月、第2作『起死回生』の刊行と同時に、みずほ銀行を退行して、以後、執筆に専念している
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感想・レビュー
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納間田 圭
105
第一勧業銀行(現みずほ銀行)に勤務経験のある著者が放つ…本格バンク小説。バブル崩壊の激変の中…忘れ去られた銀行の社会的役割と使命。自らを守るためなら…お構いなしの貸し渋り&貸し剥がし。銀行達が見ているのは…取引先の方じゃなく金融庁の方。頭の中は…金融庁監査をどう誤魔化し上手く切り抜けるか…。銀行達が考えた生き残るための…アレコレ。その一つが…債務超過からの絶対回避。次に…徹底的なリストラ。そして…他行との合併や吸収による巨大化。吸収合併は…ホロコースト級の虐殺。手厳しいかった…八方塞がりの難しい時2023/09/16
Nobuyuki Tsuji
8
江上剛の金融、ビジネス小説。銀行出身の若木、臼井の生き様、古川、矢野、など個性的な登場人物に描写も上手く、よく出来た小説。2021/05/03
terukravitz
4
図書館本★★☆☆☆2014/01/11
yoyoyo
2
きっとこれに近いことは結構あったのだろうなと思う。銀行の正義とは何か、考えさせられた。2014/03/01
suginokirico
2
銀行出身の小説家と云えば、半沢の池井戸潤が有名ですが、江上剛も代表格の一人。そして、この本も勧善懲悪の銀行モノです。組織の中に生きるのは難しいなぁと思います。2013/11/02