内容説明
かつてコンスタンティノープルと呼ばれた古都イスタンブール。その魅力は、層をなす歴史の重みと、混沌の中の輝きだろうか―1981年訪れて以来惚れこみ、毎年バックパックを背に縦横無尽に一人旅。夕陽に映えるモスク、バザールの喧噪、そして今や家族のような懐かしい人たち…豊富な体験と溢れる想いのエッセンスを、歯切れよく巧みに織りあげたイスタンブール・トルコ物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
22
80年代から90年代のトルコ滞在記、エッセイ。舞台はイスタンブールが中心だが、今となっては訪問が容易ではないクルディスタンほかトルコ各地が舞台となっている。今とは比べ物にならないくらい牧歌的だったであろうイスタンブール、トルコ各地の雰囲気がよくわかる。行動的でかつ筆力の高い作者で内容に惹かれていくので、トルコ滞在歴がなくても楽しめる一冊だと思う。2023/09/23
駒子
4
トルコの女一人旅。危ないのではと思うが、次から次へと案内してくれるトルコ人が現れる。トルコ人というのはこんなに世話好きなのか?と驚愕した。イスタンブールにいつか行ってみたい2014/11/01
N島
3
古き良きトルコでの旅情を、みずみずしいタッチで封じ込めた、タイムカプセルのような作品。 今は失われた風景も多いが、金角湾に沈む夕日の美しさは、永遠であって欲しいと願うところです。
hirayama46
2
はじめての澁澤幸子。澁澤龍彦の妹さんだそうで。へえ。/内容はタイトル通りのイスタンブールのゆるやかな時の経過を味わえる旅行記。文章も旅行のスタイルも過剰なくらいにサバサバしていて、よく大きなトラブルに巻き込まれないな、と思いました。解放的であると同時に、人の善し悪しを短時間で見極める感覚が鋭い人なのだろうなあ。2017/04/02
tsubomi
2
2015.05.12-05.27:1980-90年代のトルコ訪問記。歴史と文化に彩られた土地、初めて耳にする食物、幸運が幸運を呼び親切が親切を生む人と人とのつながり。いい面も悪い面もあるけれど全般的に欠点を補って余ある魅惑のエキゾチックな国です。有名観光地以外でも興味深い建築や遺跡が数々あり、いつか行ってみたいな〜と改めて思いましたが、気になったのは、著者も肌で感じたとおり、近年のトルコが宗教的な寛容さを捨ててイスラム教社会に回帰している点。これからも世界中の旅人を引きつける愛すべき国であってほしいです。2015/05/27