内容説明
資源小国の日本は科学技術によって近代化を成し遂げた。しかし今、その発展を支えた教育制度が限界を迎えている。受験戦争で知識偏重が進み、実体験と創造力に乏しい人間を大量生産したのだ。死んだカブトムシの電池を替えようとする小学生、魔法瓶の底を加熱する東大生…。製造業が主流である島国で、これからの理科教育をどうすべきなのか?豊富な現場取材から再生の道を探る。
目次
第1部 若者の理工離れの暗雲(カブトムシ;マニュアル世代;文理逆転;試行テスト;学力低下 ほか)
第2部 大学院博士課程の貧困(生活苦;理解不足;女子大学院生;自由がない;学振 ほか)
第3部 理工教育再生への試み(教員養成;実験指導;熱気;星座のある理科室;大学教員の出張授業 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
27
○初っ端のカブトムシの話で話にのめり込みました。私が大学受験の時、既に受験においては理系科目も知識偏重でしたので、理系離れが促進していくのもわかります。私自身は文系に行きましたが、理系的考えがないと物の考えが狭いように感じています。 また大学院の話も真剣に研究しようとしている人にもっとキチンとした支援をした方がいいと思います。2024/01/22
バカボンパパ
0
理工離れが小学校の授業から発祥していることを知り、ぞっとしました。物作り日本と言われている昨今ですが、将来が危ういですね。2012/04/29
見ぇーた
0
理工系の質の低下は、政界・官僚の質の低下が原因。打開には、まず立候補する議員に資格試験を課す。中古戦闘機など買わずに基礎研究への投資を増やす。一番質的確保が必要な小学校教員の待遇改善等の教育へ投資する。小学生でも優秀な子は飛び級で大学に進学できるなど、受験の仕組みを変える。理工系のサラリーマンの給料を医者の収入より高くする。頭が腐っている政治家・官僚・大学教授にはこれらができない!この本が書かれてから25年経っているが、世の中変化無し。これからは、ノーベル賞なんか取れない国へと転落の一途を辿るだけとなるな2024/09/13
けん
0
20年以上前の本であるが、現在にも理工離れは通ずる問題点だと思う。 特に現代人は技術の恩恵を受けているのに、その技術には全く興味を持たないという話は耳が痛い。2019/09/26