内容説明
戦国時代末期。大望を抱く才気煥発の青年説客、范雎は無二の親友鄭安平の妹の病を治すべく、悪名高い魏斉(魏の宰相)の奸臣須賈に仕えた。范雎の襄王への謁見が誤解を生み、魏斉の宴席で范雎は凄惨な笞打ちにより歯や肋骨を折られ、半死半生のまま簣巻にされ、厠室で汚物に塗れた―。戦国の世を終焉に導いた秦の名宰相范雎の屈辱隠忍の時代を広壮清冽な筆致で描く歴史大作前編。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945(昭和20)年、愛知県生れ。早稲田大学第一文学部英文科卒。出版社勤務等を経て’91(平成3)年、『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。’93年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞受賞。2000年、司馬遼太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
49
秦の比較的初めのころの宰相范雎の若いころにあまりにも才がはしりすぎたために、最初に仕えた王からの誤解を生み艱難辛苦の時代を描いています。その後に出会った人々からの援助によって次第に頭角を現していく様子が描かれています。これも「奇貨居くべし」からのスピンオフ作品なのでしょう。2015/05/07
Tomoichi
14
なかなか話が進まなくてちょっと期待はずれかな?2025/01/05
RED FOX
12
「風変わりは清廉さからくることがある。それもわかっている」戦国末期の范雎。歯と骨を折られ肥溜めに落とす刑が辛い。若い頃の傲慢さが旅を重ねて謙虚になり義に厚くなるが。下巻へ。2024/01/14
🐾ドライ🐾
7
出先の斉で目立ったため、魏に戻ってから暴行を受け厠に放り込まれた范雎の復讐譚。司馬遷の書いた『史記』范雎蔡沢列伝の現代語訳を読めば、范雎の活躍から致仕理由まで簡潔にわかる。作者はそこに架空の女性たちを登場させ、恋愛小説としても物語を膨らませた。出てくる女性は総じて美しく、范雎に惚れたり慕ったり。羨ましいと思いながら下巻へ。架空の女性を史実に織り交ぜて物語を転がすのは見事だけど、恋愛要素はあってもなくてもいいかな。2021/03/08
鮭
7
中国の戦国時代、遠交近攻を説いた秦の宰相、范雎の生涯を綴った一冊。上巻では范雎の不遇の長い時代を描くのだが、異性関係的には全盛期なのが微笑ましい。2018/12/29