内容説明
戦のさなか、不運にも獣の落とし穴に陥ってしまった東京鎮台兵市川矢八郎を絶望の淵から救ってくれたのは、疱瘡を病んで村人たちに見放され、山中に捨てられた娘だった―。西南戦争時の熊本五家荘を舞台にした詩情あふれる表題作のほか、南海の離島に漂着した異国船をめぐる滑稽譚「宝島」、部屋住みの無役の若者たちの悲歌「天馬」など、異色の素材を滋味豊かに描く時代短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICK6
5
どちらかというと時代小説は切れ味鋭い短編が好きで、実は、大好きなこの作者であるのに、長編は数冊ほどしか、手を付けていない。今後もしばらくは予定ない。さて。短編については直木賞を、お取りになる以前の作品のほうが実は好きだったりする。この作品集もそうで、特に表題作「天上の露」は素晴らしい。名短篇「秘剣」と共に、教科書にも載せてもいいのでは、と思うのだが、一か所、もしかしたらセイショウネンニトッテ、ソグワナイ、バメンガ、アルノカモ、シレナイ。2025/01/26
pippo_3520
1
何度も本棚から取り出して読み返しています。ストーリーに”人情”だけでない優しさが清水のように流れ通っている印象で、個人的には作者は女性的な感性も併せ持っている方だなあと思います。2011/02/25
-
- 和書
- 坂本竜馬とその時代