内容説明
いつ、何が起こるとも知れず、薄氷をふむ思いで生きている、この人生。だが実のところ、生にたいする幻滅なしには、本物の芸術への希求もまた、ない。心にじかに響く、血のかよった風景の匂い、懐しさ。見ることの喜びに恵まれたがゆえに、描かねばならぬという宿業を背負った画家たち…。彼らとの出逢い、その作品との出逢いのなかに、人生の苦悩と至福とを見つめる美術随想33話。
目次
三浦さんと小野クン
帰りたい風景
オートバイに乗った画家
山路越えて
鶴のいる診察室
三年目の車
脱線の画家
同行二人
海辺の墓
続海辺の墓〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
国士舘大学そっくりおじさん・寺
58
先日から読んでいる洲之内徹『気まぐれ美術館』シリーズの2巻。このシリーズで文庫になっているのはこの2巻までで、あとは単行本を探さなくてはいけない。『気まぐれ美術館』を読み始めて気づいたのだが、割と雑に読書していた私が、丁寧に本を読むようになった。美術に疎い私は、知らない世界の知識的記述は読み飛ばして良さそうなのだが、わかるまで丁寧に読む。何だろう。たぶん、今まで無関心無理解だった日本の画家の作品を、きちんと眺める事を要する随想だからかも知れない。玩味しないと感じない味がある。良い時間をくれる読物である。2018/11/02
奏市
14
前作に続き2作目。美術に関係ない話題が多い美術随筆。読み終えると良い絵を見たい、美術館に行きたいとの思いが溢れてきた。旅とか街歩きの話題も多く、絵に限らず、自ら動いて良いものを見つけていきたいと思った。前作は吉田健一の事を思い浮かべながら読んでいたら氏の話題が出てきて、今作は真珠湾攻撃の日当日にその話題が出てくる篇に当たったりして奇縁を感じる。口絵に載っている加藤太郎作『オブジェ』という題の銃の木版画がすごくいいなと思った。戦争はもちろん悪だが結果的にプラスな部分もあったと顰蹙買ってでも言えるのが流石。2021/12/12
カツェ
2
ようやく出会えた古本100円で。前半はいかにも芸術新潮の連載だと思って読んでたが、後ろにいけばいくほどどんどんグダグダに。絵の話も、ぐだぐだな自分語りもどっちもいい。で、もっと絵が見たくなるし、日本中をクルマで走りたくなる。2012/01/20
shouga123
0
気まぐれ美術館の文庫になってる3巻読了。隅田川絵巻がすごかった2020/04/05