内容説明
戦国期より、江戸末期にかけてひたする剣の技に生涯を賭けた男たちがいた。その秘技は伝承され、磨かれ、未曾有の天才を輩出し、幾多の伝説を生んだ。限りなく神の業にづいた男たち―塚原卜伝、上泉伊勢守、伊藤一刀斎、宮本武蔵、佐々木小次郎、柳生十兵衛、千葉周作ら剣鬼たちの凄絶ながらも美しい生き様を、時代小説の鬼才たちが、現代に蘇らせた傑作剣豪小説アンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
26
積読本整理中に発見。昔読んでた筈なんだけど(汗)記憶にないし読書ノートにも載ってない。つまみ読みしていたら面白くて最後まで読んじゃいました。後書き読むと平成2年刊行で文庫化が6年だと30年近く前の本です。まず昔の文庫本ってこんなに字が小さかったんだと、老眼年齢の自分にはちょっと厳しい。それでも執筆陣のなんと豪華な事か池波正太郎、戸部新十郎、柴田錬三郎、五味康祐、海音寺潮五郎、隆慶一郎、山田風太郎、他。なんと直木三十五の名短編「鍵屋の辻」まで入ってるし、今の時代小説とはずいぶん違った面白さ満載の一冊でした。2022/03/24
旗本多忙
19
柳生でも勝てないとてつもなく強い剣豪、秋月常陸守の弱点を探り戦いに挑む若き十兵衛。だが、大きな間違いをしていた。藤沢周平さんもこんな剣豪ものを書いていたのか、老境に入った武蔵、もはや策を練ってせねば勝てない歳になっていた。奥義を極めし上泉伊勢守を道場の隅でじっと見る老人....。他に佐々木小次郎や塚原卜伝、千葉周作などなど、剣で一派をたてた無敵の剣豪らのエピソードを時代作家の名手らが短編にした。特に周平さんの武蔵と、笹沢左保の十兵衛は良かったなあ。読後に藤沢周平の「決闘の辻」を読んで見たくなった。2024/11/14
タツ フカガワ
5
16人の作家による剣豪アンソロジー。後に物干し竿と呼ばれる佐々木小次郎の太刀がなぜ長くなったのか。また巌流島において宮本武蔵29歳、小次郎69歳など意外なエピソードも楽しめた五味康祐「真説 佐々木小次郎」や、首斬り浅右衛門の仕事を医学的(?)にも検証した渡辺淳一「項の貌」、破滅型剣士の生き方が切ない中山義秀「平手造酒」が印象に残りました。が、なんといっても戸川幸夫「榊原健吉」が素晴らしかった。幕末の男谷精一郎の高弟で、実在の剣士榊原健吉の篤実高潔な半生に、最後は活字がぼやけました。2018/10/27
いが
4
山田風太郎「三剣鬼」読了。幕末三大人斬り、田中新兵衛、岡田以蔵、河上彦斎を一人の女を軸に一堂に会する離れ業を披露する快作。いつもながらの優れた人物造形、理解はできるけど言葉では表現できないような感情、多少の無茶もねじ伏せる天才的な文章。切れ味鋭い短編に酔いしれた。2020/04/12
dragonfly
2
昔の作家が多く、前半はなかなかページが進まず苦労しました。最後の『榊原健吉』は面白かったです。2022/02/27