感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
14
短編7本…のうち、はっきりと再読と言えるモノ1本、何となく記憶に残っているもの3本。収録作品全編、消失トリック、密室トリック、心理トリック等、複数の技巧が絡めてあって濃厚。今回、うち的に印象深かったのは、結末、真相がメインキャラの心を激しく揺さぶる「夜警殺し」と「偽装自殺」かな。最近の自分の好みの傾向として、複雑な謎が解けてスッキリー!というモノより、情にジワ〜と訴えてきたり、皮肉な後味が残るモノに魅かれているような…。2024/04/17
はんげつ
4
本格ミステリ短篇集のATBを考える時、私はいくつかの傑作とともにこの一冊を挙げると思います。全作トリックやロジックに情熱注ぎまくり工夫凝らしまくりなだけで絶頂ものなんですが、人間心理を捉えた物語としてもとてもまとまりがよくて、それがミステリの趣向へつながり、ミステリの趣向からつながってきたりする。その描き方が抜群にうまいから、短篇ミステリの極上性がぐんぐん増しているんです。一篇読み終わるごとに膝をバチンと叩いて「よっ、大谷屋!」と叫びたくなること請け合いです。本当にめちゃくちゃよかった……2019/08/17
トトリベ
3
本格推理短編集。残念ながら私には合いませんでした。事件を複雑にすると真相が見破られにくくなりますが、代わりに腑に落ちる推理が必要となります。本書では、確証のない推理の上に推理を重ねるような危うい手法がとられていて、真相に納得することができませんでした。事件解決のきっかけが「厳しい取調べに耐え切れず吐いた」というのも、本格としてはいかがなものでしょうか。また、この時代なので仕方ないのかもしれませんが、情事にまみれた物語にも辟易しました。ベストは『偽装自殺』。なんとも言えない皮肉なオチがナイスでした。2014/02/08
kanamori
0
☆☆☆2011/10/09
wm_09
0
二重三重に入り組んだ凝りに凝ったプロットが楽しめる。『本格推理』収録作のような文章も相まって新本格を読んでいるような気分になった。重要な事実を平然と後出しするのは気に入らないが、ミステリとしての内容は充実している。(稲)2010/05/18