内容説明
撮影所の魑魅魍魎たちが持つ「おへそ」とは何か?そして、四十代から考え始めた「人生の店じまい」の心得とは?肉親との永年の苦闘の果てに手に入れた夫・松山善三との穏やかな暮らしを守る中で、女優にして名文筆家の高峰秀子が自らの歩んだ道を振り返りつつ示した矜持と鋭い人間観察眼。人生を味わい尽くす達人による、ユーモアとペーソスあふれる珠玉のエッセイ集。
目次
四十三年目のウェディングドレス
オッパイ讃歌
おへそ
ひとこと多い
馬よ
梅原龍三郎と周恩来
風の出会い
午前十時三十分
ウー、うまい
きのうの「人間」きょうの「人」〔ほか〕
著者等紹介
高峰秀子[タカミネヒデコ]
1924‐2010。1924(大正13)年北海道生れ。5歳で子役としてデビュー。以降、「二十四の瞳」「浮雲」「名もなく貧しく美しく」など400本を超える映画に出演した昭和を代表する女優。随筆家としても知られ、多くの著書がある。2010(平成22)年12月28日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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財布にジャック
54
高峰さんの人柄が滲み出ている素敵なエッセイでした。幼少の頃から苦労されていたことを、この本を読んで初めて知りました。売れっ子女優さんだから、もっと派手な暮らしをされていたのだとばかり思い込んでいました。ユーモアもあり、読んでいてほっこりします。通勤のお供にピッタリでした。しかし、名だたる監督さん達のお話や、有名な方々との交流だけでなく、等身大の高峰さんの日常なども垣間見られて良かったです。2012/09/01
優希
35
人生を楽しく味わった人だから書けるエッセイだと思いました。ユーモアがたっぷりの語り口調も良いですね。2024/10/02
新地学@児童書病発動中
34
女優高峰秀子さんの晩年のエッセイ集。これはお勧め。ユーモアとしみじみとした味わいがあります。しゃきしゃきした軽快な文章が魅力的で、重たい話も過度に感傷的にならずに読めます。本の中をさわやかなそよ風が吹き抜けているような感じが非常に好みでした。私の一番の好きなエッセイは、育ての親と確執を淡々と描いた「ひとこと多い」。2012/08/11
新田新一
30
この間読んだ『巴里ひとりある記』が面白かったので、読んでみました。高峰さんの晩年のエッセイ集。軽快でユーモアのある書き方は、本書の中でも発揮されていて、何度も笑いながら読みました。圧巻は「ひとこと多い」です。さりげなく夕食の話から始まり、養母との辛くて、悲しい関係が描かれて、読み手の心を揺さぶります。養母は高峰さんのマネージャーになり、高峰さんの稼いだお金を浪費。晩年は認知症になり、彼女を困らせる始末でした。高峰さんのユーモアはこのような辛い経験に裏打ちされたものと分かり、尊敬の念が高まりました。2024/08/31
これでいいのだ@ヘタレ女王
23
大女優で ありながら 文章を書かせても 抜群に上手い。シャンソン歌手石井好子さんのエッセイ同様 読んでいると、自分も自然に背筋が伸びて ほんのちょびっとだけ上品な人になれた気分にさせてくれる一冊。2015/06/08




