新潮文庫<br> たった一人の生還―「たか号」漂流二十七日間の闘い

新潮文庫
たった一人の生還―「たか号」漂流二十七日間の闘い

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  • サイズ 文庫判/ページ数 257p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101367118
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

それは一瞬の出来事だった。巨大な崩れ波、「たか号」の転覆、そして艇長の死。残された6名は救命ボートに乗り移り、あてどない漂流が始まる。こうして栄えある国際外洋ヨットレースは一転、直面する死との凄絶な闘いが幕を開けた…。極限状況の27日間を必死に生きぬき、ただ一人生きて還った者として、あの海に今も眠る仲間たちのために、すべてを書き綴った海と死と生命の記録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん💗

66
読み友様からのご紹介本です📙素晴らしいノンフィクションでした。過酷なレースだったのですね。初めにマリンマリン号が転覆して騒ぎになっていた様だが、漂流するたか号は中々見つけてもらえない。こんな小さなゴムボートに7人で投げ出され、1人また1人と亡くなってゆく。最後に残った佐野三治さん、今もご存命ですよね。亡くなったご遺族の彼に対する暖かいお言葉に涙。それにしても腹の立つのはマスゴミ。人間の尊厳を踏みにじる「人肉は食べたんですか?」の質問に呆れ返り憤り佐野さんを本当に気の毒に思った。2024/03/16

ビブリッサ

47
「記憶が薄れる前に残さなければならない」と、正直に真実を著した作品が胸に迫る。著者一人しか生還していないのだから嘘も美談も思いのままなのに、レース前の整備の不安要素を言えなかった甘さも、救命ボートでの気弱な言動も余さず記してある。衰弱死した仲間を水葬する際の無念と悲しみ、そして物理的な重さ・死後硬直ゆえの搬出の苦労までも描写してあるリアリティさ。心理治療のテストで「あなたは現実だけしか見ないのだね」と医者が驚いたらしいが、それこそが彼の生還の理由だと得心する。真正面からの文章には力がある。2017/03/10

ポルトン

46
事件、事故の後にはよく「たら」「れば」ってのが言われるけど…たか号の転覆、漂流もそんな感じでした。 シッカリ点検していれば… 安全ルールを守っていれば… 転覆は防げなくてもその後ここまでの大惨事にはならなかったのでは?って思ってしまいます。最大の転機はイーパブの取り扱いを知らなかった事、事前に動作確認をしなかった事、転覆時に流失してしまっまた事なんでしょうが…やりきれないですね…2018/04/30

hatayan

36
1991年、ヨットレースでグアムを目指した「たか号」が転覆、7人の乗組員のうち最後まで生き残った著者が綴った手記。救命ボートに6人がすし詰めになり、次第に追い詰められるなかで突然やってくる別れ。続々と亡くなる同僚を水葬しながら麻痺していく死への感覚。医師は、筆者が生き残ったのは極限の中の奇跡に近いものだったと言います。 苛酷な経験を経ても、筆者はまたヨットに乗りたいと記します。命をすり減らすような一瞬にこそ生きる意味を感じ取る、冒険者の業のようなものに筆者も取り憑かれていたのかもしれません。2019/01/05

kawa

29
1991年末ジャパン-グアム・ヨットレースに参加して沈没した「たか号」。乗組員7人のうち、漂流27日にして唯一生き残った佐野光治氏によるドキュメント。氏と他の方の生死を分けた差はどこにあるか、一読では解からないながら凄まじい体験であることは間違いない。31歳で事故に遭ってお元気なら還暦超え、その後の氏の人生はどうだったんだろうかと思いも…、折よくこんな記事があった。https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/yasushi-nishimuta/18-002532024/01/17

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