内容説明
戦後プロ野球50年。その間、幾多のスター選手が活躍した。終戦直後に彗星のごとく登場し、廃墟の空に虹のようなアーチを架けつづけた大下弘。まさに彼こそが、プロ野球隆盛の礎を造る旗手だった。知将・三原監督の指揮のもと、西武ライオンズの野武士軍団の中核となった大下の“青バット”がうなるたび、大衆はその快音と打球の軌跡に夢を重ねた。華麗な天才打者の数奇な生涯を追う。
目次
第1部 スター誕生(廃墟の祝祭;夢の原っぱ;虹をかける男;青の時代)
第2部 西方の覇者(愛の讃歌;運命の邂逅;黒の軍団)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シロー
18
本棚断捨離その九 七年ぶりに読んだが、やっぱりスケールの大きなスラッガーは憧れる。今年は燕の村神様が一大ブームになったように野球の華はホームラン。また少年達とのふれあいが素晴らしい。現役時代のオチさんもオフにはやっていたけど一年中って凄い。今、一瞬でもこんなことができる選手がいるだろうか? 2022/12/21
Penn
3
昭和34年に引退した「青バットの大下」は、その後、解説などで見かけることもなかったため、私にとっては歴史上の人物。93年1月放映の『知ってるつもり?!』で興味を持ち、ぜひ読みたいと思いつつなかなか見つからなかった本書を古書店で見つけ、読了。戦後の荒涼とした明治大学のグラウンドを出発点に、戦後プロ野球の創成期を駆け抜けたスター選手の光と影をメインテーマにしつつ、戦後間もない社会の様相やプロ野球ファンのあり方の現在との相違も垣間見え、興味深かった。天衣無縫の天才は、やはり少し遠くから眺めるべき存在か。2015/04/27
イケタク
2
評価⭐️⭐️⭐️ 戦後間もない時期のプロ野球で川上哲治と並び人気を博した大下弘。 後に管理野球の祖として名監督と言われた川上とは対象的に、現役、監督通して奔放な人生を歩んだ大下の生涯は魅力に満ち溢れている。
はなちゃん。
1
大下弘、豪快すぎます。同時代に生きてみたかったな2016/06/16
シロー
1
「赤バットの川上、青バットの大下」で終戦直後のプロ野球を支えた存在ながら、片や「打撃の神様」「V9監督」として名を馳せるのに対し、大下氏は名前は知ってるけど…という状態でしたが、本書を一読した感想はその野球人としてのスケールは川上氏を凌駕し、比較の対象はミスタープロ野球こと長嶋氏しか見当たらない。作中その打棒をベーブ・ルースに例えられるが、打撃のみならず子供っぽくて、寂しがりやな人柄までが驚くほどルースに似ている。ラストの三原氏の言葉が感慨深い。巻末に王氏の決意表明、赤瀬川氏の解説と書籍として完璧な一冊。2015/09/01