新潮文庫<br> ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記

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新潮文庫
ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101354415
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

早稲田大学を出てアニメーション制作会社へ入ったごく普通の青年がいた。駆け出しながら人気アニメ作品の演出にも携わるようになったが、24歳のある日を境に、仕事場では突飛な大言壮語をし、新聞記事を勝手に自分宛のメッセージと感じ、また盗聴されている、毒を盛られるといった妄想を抱き始め…。四半世紀に亘る病の経過を患者本人が綴る稀有な闘病記にして、一つの青春記。

目次

第1章 兆候(一九六二年~一九八四年)
第2章 現実との闘い(一九八四年~一九八六年)
第3章 意識革命(一九八六年七月)
第4章 幻覚妄想(一九八六年七月二十五日~七月二十七日)
第5章 入院(一九八六年七月~十一月)
第6章 出発(一九八六年十一月~一九八八年十二月)
第7章 想像と妄想の狭間(一九八九年一月~十月)
第8章 躁病、そして再入院(一九八九年十月~十二月)
第9章 再出発(一九九〇年一月~一九九一年四月)
最終章 障害があっても(一九九一年~現在)

著者等紹介

小林和彦[コバヤシカズヒコ]
1962(昭和37)年、横浜生れ。’80年、早稲田大学商学部に入学し、在学中は「早稲田大学アニメーション同好会」に参加。’84年、大学卒業後にアニメーション制作会社「亜細亜堂」に入社し、アニメーター、演出家として「タッチ」「ドラえもん」「日本昔ばなし」などの作品に携わるようになる。’86年7月、幻覚妄想状態に陥り、精神神経科に入院。同11月に退院し、まもなく職場に復帰したが、’88年に退社。以後も、発症のために数回の入退院を繰り返している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

188
統合失調症に罹患した青年の闘病記。最初に著者が統合失調症を発病していく様子が、あまりに生々しく、抑うつ状態で休職し復職した今も投薬中の私には引きずり込まれそうで、一度本を閉じました。改めて読んでみると、統合失調症の内面を充分に知ることが出来ました。やはり、適切な時期に適切に薬を飲まないと寛解も遅くなってしまうのかな。ここからは非常に私的な意見です。統合失調症の妄想の大きさに驚愕した。私の抑うつ状態も辛かったが通院していただけの私は、未体験の部分が多く共感できる点が少なかった。著者の早い寛解を祈念します。2016/06/11

ガクガク

70
タイトル通り統合失調症を発症した著者の発病前から現在に至るまでの闘病記。誇大妄想になり、被害妄想になり、世界の中心が自分であり、世界と自分がダイレクトにつながるという感覚や意識は、発症前後の手記で詳しく語られるが、やはり読んだだけでは理解不能で想像の域を超えている。少なくとも著者が、その時どう感じ、どう考えたかを知ることはできるが、「なぜ」そうなるのかは全く理解できない。実は私の職場にも同じ病気を持つ部下がいて、彼を理解する手助けになればと読んだが、病気の事でじっくり話したことがないので役に立つかどうか。2014/04/30

抹茶モナカ

59
統合失調症の患者の闘病記。僕も統合失調症で通院中なので、読んでみた。近年は、陽性症状がとれないらしく、グループホームに入所し、精神病院に入退院を繰り返している様子。幻覚や幻聴を細かく覚えている点が凄い。読んでいて、「わかる、わかる。」と思ったところも多かった。そして、著者が初めて入院した町の釧路。病院は違うけど、僕も釧路の病院に入院したので、もの凄く親近感を覚えた。2015/05/04

パフちゃん@かのん変更

58
頭のいい人なんだろうと思う。過去のこと、発病に至る体験をリアルに綴っている。もちろんその時病識はない。最終章に「頭がおかしくなっていることを、おかしくなっている頭で理解する」ことの困難さをわかってもらえるだろうか。と、ある。統合失調症の人に自分が病気だという意識がなく周りの世界がおかしいと思うのが普通だ。35年勤めた会社を辞め、著者と一緒に料理屋をやっていこうとする父親が68歳で亡くなったのがお気の毒。でも著者は障害年金を貰い、月4万円のグループホームでちゃんと生きていっているから心配はいらない。2017/01/25

あじ

47
医者が書いた本は巷に溢れていますが、患者本人が体験談として書いた本はごく僅かだと言います。本書が有益だった点は、客観視し論理的にまとめた文章だったこと。また著者(患者)を通して現実とは異な世界の臨場感が得られた事でしょうか。現実に居ながらにして別の世界が見えている状況が、どういった具合なのか感触が得られました。後半は知己に富んだ話しになりついてゆくのが厳しかったのですが、これも著者の思考の一部で削れない部分なのかなと丁寧になぞりました。病気にならなければ、医者でも書けない本だと申しておきましょう。2014/03/28

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