出版社内容情報
零戦の伝統を受け継ぐ「国産戦闘機」が大空を翔る日はくるのか。「先進技術実証機」開発秘話が物語る日本の安全保障の核心。
航空自衛隊の次期主力戦闘機として第五世代ステルス戦闘機F22を望んでいながら、日本が導入を決めたのは格下のF35。アメリカの思惑に屈した形だが、こうした歴史を繰り返すまいと、零戦の伝統を受け継ぐ「国産戦闘機」の開発を目指す人たちがいる。「先進技術実証機」は日本の空を飛ぶのか。その開発秘話が浮き彫りにする日本の安全保障の核心。『甦る零戦』改題。
内容説明
航空自衛隊の次期主力戦闘機として第五世代ステルス戦闘機F22を望んでいながら、日本が導入を決めたのは格下のF35。アメリカの思惑に屈した形だが、こうした歴史を繰り返すまいと、零戦の伝統を受け継ぐ「国産戦闘機」の開発を目指す人たちがいる。「先進技術実証機」の飛翔は何を意味するのか。その開発秘話が浮き彫りにする日本の安全保障の核心。
目次
未来への道程 二〇一五年「心神」発進へ
第1章 コード・ネーム「心神」(零の遺伝子;異形の兵器;「心神」誕生;CX・PX)
第2章 日米同盟の呪縛の中で(ベールを脱いだ実証機;日の丸ステルスの実像;防衛産業基盤の命運)
第3章 迷走するF22(第四次FX問題;アメリカの思惑;対日不売論;オバマの決断)
第4章 取り残された日本の夢(米軍変貌;有事対応力;第六世代への道;「制宙権」を巡る争い;老将からの伝言)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マーム
80
次期主力戦闘機として導入予定のF35の調達費が1機154億円と当初価格の1.5倍に跳ね上がったことを鑑みると、日本は今後価格高騰リスクを背負わされることになります。また、外国製の機体であるが故にブラックボックス化されている技術もあり、有事の際に不安を感じる現状となっています。そこで先進技術実証機(ATD-X)「心神」の開発です。実際に空を飛ぶ実機の開発過程で得られる技術情報は得がたいものと言えそうです。軍事・国防問題を扱う本として面白かったですし、日本のものづくりの物語という側面もあって興味深かったです。2012/08/17
hatayan
40
次期戦闘機の導入をめぐる日米の攻防。日本は先の大戦の零戦の精神を受け継いで国産戦闘機を開発する野心を宿すも、現実的な抑止力として最新鋭の戦闘機F22の導入が適切と判断。一方、日本を支配下に留めおきたい米国は最新鋭の戦力を日本が持つことで中韓の軍事情勢に影響があると懸念。日本の戦闘機の開発に圧力をかけるだけでなくF22を禁輸扱いとし、型落ちの戦闘機を高い値段で売りつけます。著者は日米同盟には伸び代があるとして、その次の戦闘機こそ日米の技術を持ち寄り対等に共同開発したいとする米政府高官の言葉で締めくくります。2020/08/14
さきん
27
国産戦闘機がどうしても開発したい日本と、技術力をつけてほしくないアメリカとの手に汗を握る交渉。アメリカは頃合いを見計らっては、戦闘機を売り込み、開発意欲を削ごうとする。戦闘機のみならず、あらゆる兵器に関わる技術を確保したい日本の危機感が伝わってくる。エンジンは零戦の頃の変わらず技術陣の肩に重くのしかかる。2017/03/01
むらきち
15
何もレーダーで見つける事は出来ず、何も射つこともなく、突然、「お前はすでに死んでいる」と言われる。F22と演習で対峙した空自F15パイロットの言葉。人の能力ではどうにもならないステルス性能、FXにおけるアメリカとの駆け引きからも、日の丸ステルスは必要だと思った。第6世代のコンセプトは、まるで戦闘妖精雪風の世界。2014/05/18
乱読家 護る会支持!
4
世界最強の米軍F22ラプターの購入をめぐるかけ引きと、日本製ステルス戦闘機(心神)の開発秘話。一機数百億円の戦闘機F22。米国でもコスト負担が莫大で、また最新鋭の極秘技術の漏洩も怖い。日本に売りつけたい勢力と売りたくない勢力。日本の戦闘機技術・航空機産業を高めたいニーズと、中国への脅威からF22を購入したい国防ニーズ。我が国が、最先端の必勝の兵器を欲しがるのはわかりますが、開発費含めてコストが凄すぎる。赤字国債で死にかけている国家財政なんだから、現実的な柔軟性のある判断をお願いしたいものです。2015/06/28