新潮文庫
100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101351667
  • NDC分類 415.7
  • Cコード C0141

内容説明

1世紀にわたり、幾多の挑戦者を退け続けた超難問、ポアンカレ予想が解かれた。証明したロシア人に対して、「数学界のノーベル賞」フィールズ賞が贈られ、偉業は大きく祝福されるはずだったが―。受賞を辞退して姿を消し、100万ドルの賞金さえも受け取らなかった天才は、栄光の陰で何を見たのか。数学者たちを悩ませた難問の実像に迫る。大反響を呼んだ傑作ノンフィクション。

目次

プロローグ 世紀の難問と謎の数学者
第1章 ペレリマン博士を追って
第2章 「ポアンカレ予想」の誕生
第3章 古典数学vs.トポロジー
第4章 1950年代「白鯨」に食われた数学者たち
第5章 1960年代クラシックを捨てよ、ロックを聴こう
第6章 1980年代天才サーストンの光と影
第7章 1990年代開かれた解決への扉
エピローグ 終わりなき挑戦

著者等紹介

春日真人[カスガマサヒト]
1968(昭和43)年生れ。東京大学理学系研究科相関理化学修了、’93(平成5)年NHK入局。長野放送局、番組制作局教養番組部、番組開発、経済・社会情報番組を経て、現在、名古屋放送局制作部ディレクター。科学と人間のはざまを主なフィールドとしてドキュメンタリー番組を制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

131
ポアンカレ予想を解いたベレルマンの周辺について書簡などを引用し説明。ポアンカレ予想を知らない方が、最初に読むのによい本。なぜ、フィールズ賞を受賞しないかは「ポアンカレ予想」、証明はどういうものか「ポアンカレ予想を解いた数学者」を参照。最初に本書を読み、「ポアンカレ予想」「ポアンカレ予想を解いた数学者」の順に読んでいくと、人と内容の両方がおぼろげながらでも理解。ポアンカレ予想がロープをかけたときに表面から離れないように、回収できるかどうかと同じ問題だということを知った。特異点問題が最終的な証明に役立った。 2013/07/13

扉のこちら側

118
2016年282冊め。副題の「天才数学者の光と影」に表されるように、研究の内容を追うというよりも、受賞を拒否して世間から姿をくらませたペレリマン博士の人物像を追う方に重きを置いたのだろうと思う。トポロジーの象徴たり世紀の難問が、かつてトポロジーが古臭いものとした「微分幾何学」で解き明かされたというのがなんだか象徴的。2016/04/29

夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

74
100年の難問とは数学の7大難問の一つ「ポアンカレ予想」です。ポアンカレ予想の証明により「宇宙の形」を示せると言われています。1904年にポアンカレが提唱して約100年後にペレリマンが証明に成功しました。ポアンカレは知の巨人であり数学だけでなく物理学、哲学にも通じていました。ペレリマンは謎の数学者で人と関わらず数学界のノーベル賞とも呼ばれるフィールズ賞を辞退しています。出てくる理論は難解ですが数学的に地球が球形(トポロジー的に穴が無い)であることは証明されますのでそれを宇宙に広げる考えのようです。2020/06/23

ntahima

67
以前、サイモン シンの『フェルマーの最終定理』を読んだ時、関連動画「フェルマーの最終定理」、「魔性の難問~リーマン予想・天才たちの闘い」、「100年の難問はなぜ解けたのか」を続けて見た。本作はNスペの内容を元に書き下ろしたノンフィクション。数学的証明そのものよりポアンカレ予想に関わってしまった数学者の群像を描いている。数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞を辞退したペレリマン博士が最後に知人に伝えた『現在、別の関心事がある』の言葉が気にかかる。何年か後にまた世界を驚かす新たなる証明がなされるのだろうか…2011/09/17

KAZOO

62
100年の難問というのはポアンカレ予想問題のことだというのがよくわかったとともに、少し物足りない感じがしたのはテレビ用のものを現行にしたからなのでしょうか。ですからみなさんはサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」と比べるとということになるのでしょう。ただ、わたしのような数学は好きでも文系の人間にとってはわかりやすい気はしました。2015/05/29

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