内容説明
狭い土地で千年続く歴史から生まれた「しきたり」と共存する「京都」。新しいものをどんどん取り入れて新陳代謝を繰り返す「東京」。日本のふたつの「みやこ」と、そこに生きる人間のキャラは、どうしてこんなに違うのか?東女が、異文化「京都」に出会って以来の発見・疑問・驚きを、「言葉」「節約」「神仏」「若者」「敬語」「女」など、19の観点から鋭く考察した比較文化エッセイ。
目次
言葉―いけずと意地悪、もっさいとダサい
料理―薄味と濃い味
節約―始末とケチ
贈答―おためとお返し
高所―比叡山と東京タワー
祭り―祇園祭と高円寺阿波おどり
流通―市場と市場
神仏―観光寺院と葬式寺院
大学―京都大学と東京大学
書店、喫茶店―恵文社とabc〔ほか〕
著者等紹介
酒井順子[サカイジュンコ]
1966(昭和41)年東京生れ。立教大学社会学部観光学科卒。エッセイスト。高校在学中に泉麻人氏に見込まれ、雑誌に連載を持つ。大学、3年間の会社員時代も、本業を満喫しつつ複数の連載をこなし、円満退職後、ついに本職に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里季
65
とてもわかりやすくて文章もリズムよく面白かった。京都人の書く京都案内の本を何冊か読んだが今一つベールに包まれてるように感じたのだが、酒井順子氏は京都大好き東京人だ。思うに、京都人の本は「ほれ、みなまで言わんでもわかっとくれやすやろ」という感じがあるのに対して、他所(よそ)の人の書く京都は不案内な者にとても親切なのである。私はふとしたことから滋賀から京都に移り住むようになったのだがまだまだ到底京都のことがわかっていないので、本書はとても優しくわかりやすく感じたのだった。2018/05/16
やま
60
東京人の酒井順子さんが、東京と京都を比較して書いたエッセイです。京都は、長く天皇がいて都が在った歴史ある都。東京は、徳川の幕府が置かれ、明治以後天皇が移ってきた東の都。京都の人は、天皇はんは、ちょっと東京に行ってはるだけやと、思っているのにはビックリした。2023/05/11
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
54
京都好きの東京人、酒井順子さんの京都と東京比較文化論的エッセイ集。うなぎのように掴みどころなく、その正体はつかまえたと思っても、手からぬるりとすり抜けてしまう。本好きとしては、綿矢りささん(京都出身)と金原ひとみさん(東京出身)との比較と、山村美紗論(山村美紗サスペンス論?)がおもしろかった。生まれも育ちも大阪人の私にとっても、すぐお隣なのに、近いようで遠い場所でもある。2017/01/07
糜竺(びじく)
53
東京生まれ東京育ちの著者酒井順子さんの、京都への大好き感が伝わってくるエッセイです。うまく言えないんですが、京都のなんともいえないあいまいさ(?)や、相手の心を察する感じなど、微妙にかゆい所を上手な文体で伝えてくれる内容です。「言葉」「料理」「節約」「贈答」「高所」「流通」など、色んな分野について東京と比較しながら書かれています。明治時代前まで、都として続いてきた京都ですが、他の地方とはまた違う品みたいなものを感じました。自分は小学生の時以来、京都に行けていないので、また行ってみたいなと感じました。2017/04/11
佐々陽太朗(K.Tsubota)
52
京都と東京、二つの「みやこ」の文化比較、というか思い入れのほどを思いっ切り語った本。著者ご本人によると二つのみやこに対する愛の告白だそうです。著者の奥深い洞察を充分に分かったとは言い難いが、「わからん」→「わからへん」→「わかりまへん」→「わからしまへん」と分からない度合いが雅に活用していくほどには分かった。かな? 入江敦彦氏の著書『イケズの構造』をあわせて読むと京のおかしみがさらに深まるだろう。2012/03/11