内容説明
教科書で読んだ物語は、あの日の学校にタイムスリップさせてくれる。給食の味が、放課後の空気が、先生や友だちの声が、よみがえってくる―。学習教材にたびたび登場する著者の作品のなかから、「カレーライス」「あいつの年賀状」「もうひとつのゲルマ」の文庫初登場三作を含む九つの短編を収録。おとなになっても決して忘れることはない、子どもたちの心とことばを育ててくれた名作集。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、’10年『十字架』で吉川英治文学賞、’14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
183
表題作について。エグさがいつ炸裂するのかと構えていましたがwww、エグくない作品も良いものだとしみじみと思いました。子供は親が想っている以上に気に掛けて欲しいんだと改めて実感すると同時に、本作の父が「おまえもう中辛なのか」と言うシーンは既視感があり過ぎて大汗でしたwww。2023/10/02
ムーミン
166
やっぱり子どもを書かせたら重松清。いつも子どもと向き合うための純粋な心を取り戻すことができます。2020/12/19
Kazuko Ohta
159
私が重松清を大好きなのは、彼に教室では出会わなかった世代だからなのかもしれません。もしも出会っていたら、アマノジャクの私は、こんなにも清廉な作品群を皮肉混じりの目で見ていた可能性があります(笑)。がんばればいいことがあるとか、努力は必ず報われるとかって、叶った人だけが言うことだと。重松清はいじめをすっかり解決するわけじゃない。つらいこと全部どこかへ運び去るわけでもない。でも、周囲には自分のことを気にかけてくれる人もきっといる。今はいいことがなかったとしても、がんばるうちにいいことがあるかもと思えるのです。2021/04/27
おくちゃん🌷柳緑花紅
147
とても満ち足りた読書時間を過ごせた。新しい心に響くフレーズの数々。以前に読んだ作品の中にあって強く記憶に残っているフレーズとの再会。胸熱くしながら読了後のあとがきで作者が語った「教室で出会った○○」を大切にして欲しい。教室で出会った友だち。教室で出会ったライバル。教室で出会った寂しさ。教室で出会った歓び。教室で出会った悔しさ。その他もろもろ。すべてが君たちをかたちづくるものであって欲しい。この春小学一年生になる初孫へ、同じ想いを持ちつつ。。2021/02/13
あすなろ
139
重松氏自身によるあとがきによれば、僕が涙浮かべたカレーライス・バスに乗って・卒業ホームランは教科書に採用されているとのこと。あと、ドロップスは神様の涙も涙腺緩む。これら重松氏作品が教科書や試験に頻繁に採用されていることは知らなかった。幼い頃特有の心情の独特な不安感がよく描き表されていると思う。例えば、表題作であるカレーライスなど父親と思春期入り口の息子の心情描写が上手い。2020/10/19
-
- 電子書籍
- ITAN25号