新潮文庫
失恋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101325194
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

黎子と悠介は、学生の頃からの“友人”。恋人同士であったこともないが、三十半ばになっても黎子が頼りにするのはいつも悠介だった。しかし、黎子の元夫が失踪し、二人の微妙なバランスが崩れて―「欲望」。年下の男との恋につまずいた銀座の女を描く「安い涙」。恋の喪失感をテーマに、さまざまな恋のかたちが繊細なタッチで描かれる。切なく、胸に迫る四つのラヴ・ストーリーを収録。

著者等紹介

鷺沢萠[サギサワメグム]
1968(昭和43)年、東京生れ。上智大学外国語学部ロシア語科除籍。’87年、18歳の時に、「川べりの道」で文学界新人賞を受賞。「葉桜の日」などで芥川賞候補に、「ほんとうの夏」などで三島賞候補に挙げられ、’92(平成4)年『駆ける少年』で泉鏡花賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

402
4つの短篇から構成される「失恋」の物語。もっとも、冒頭の「欲望」(タイトルから想像される内容からは遠い)は、必ずしも失恋の物語でもなく、むしろ失望の物語とでも言うべきか。4篇のいずれもが、鷺沢萌によく見られる出自を含めた自己のアイデンティティを描くのではなく、外側に物語を構築する小説群である。その意味では鷺沢らしくないとも言える。むしろ解説を書いている小池真理子のスタイルに近いか。最後の掌編「遅刻」にはあてはまらないが、他の3篇はいずれも、それぞれの環境の中で一生懸命に生きる女たちの物語だ。2020/02/26

あつひめ

95
あとがきにあるとおり、読み手によって失恋の物語ではないかもしれない・・・ほんとにそうかもしれない。恋は、人が人として成長する中では大切な部品なのかもしれない。でも、中には不具合の部品もあるし。いつまでも続けられない不具合の恋をやめられないのは、恋に恋している自分を愛おしくなってしまうのかもしれない。でも、いつかは何とかしなければと思いながら。恋はしないよりはした方がいい。でも、いつも相手のペースにはまるのではなくお互い同じ力関係でシーソーをこぐようにできたら・・・いいのにねって読後感じたのは私だけかなぁ。2014/03/15

(C17H26O4)

85
恋愛なんて恋愛なんて、渦中にあったら気持ちは乱高下したりして面倒くさかったけど、恋愛って人情だったんだなって思う。恋愛が自分勝手な欲望に思えてしまったとしても、突き詰めれば打算も含めて純粋だからなんだな、多分。恋も失恋もいいんじゃない? 性懲りもなく恋愛してもいいんじゃない? 激しい思い出も苦い思い出も、それもいいんじゃない? 鷺沢さんの温かい眼差しを感じた4篇。2020/07/03

masa@レビューお休み中

67
恋は終わるものではなく、失うものなんだ。あのとき、手のひらにあった。そう思っていても、何かの拍子に砂のように零れ落ちてしまう。理不尽で、不公平で、不均衡で不埒なものが恋である。それは自身の欲望を満たすための行為なのだろうか。それとも、相手を思いやる行為なのだろうか。想いも記憶も情念も、恋を失うまでは不毛に燃え続ける。手に入れることができなくとも、満たされることがなくとも、どこまでも囚人のように捕らえて離さない。失ったと気付くまでは…。2012/06/23

ひめか*

59
私はこういう恋愛はしたことないが、恋ってこんなものだよねって感じもした。恋の喪失感と爽快感を与えるような短編集。ゆっくり深く胸に染み込んでいく。『記憶』大学生の話だから親近感をもてたが、こんな男は私も別れろと言うと思う。終わり方はそれとなく爽快で良かった。『欲望』人が人を信じたかったり救いたかったりする思いの全てが自分勝手な欲望?そんなわけない。このあたりの心情が胸に刺さる。『安い涙』境遇や主人公の気持ちに胸が痛む。『遅刻』複雑な思いを笑顔の下に隠した、わかるなぁ…この終わり方は半端だけどなんかいいな。2016/02/01

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