内容説明
三人の天下人と対決して、これほど重大な選択の場におかれ、深い矛盾に引き裂かれた武将は他にいない。神か、領国か、地上の栄光か、天上の平安か―領土を争って血みどろのいくさが繰り広げられる戦国の世に、だれもが命がけで守ろうとする領国を捨て、魂の故郷を求めつづけて、故国から追放され、遠い異国の地に果てたキリシタン大名高山右近の流転の生涯を鮮烈に描いた大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
82
後半は、信長に仕えてその後秀吉、家康に仕えます。江戸時代でなかったのが彼にはよかったのかもしれません。キリシタン大名ということでほかにもいますが、彼ほど人格的にも優れた人物というのはいなかったのでしょう。私はこの本を読んで初めてこのような人物であったということがよくわかりました。やはり様々な本を読むということはいいですね。2015/10/16
金吾
28
生きるための信仰について考えさせられました。下巻では領主の地位を捨ててからの話が印象深かったです。2023/01/12
それいゆ
22
信長、秀吉、家康らが絶対に持ち合わせていない心を持っていたのが右近だったということです。終焉の地となったマニラに着いてから50日にも満たないのに、多くの人たちに徳の高さと清廉な人柄が認められ、誰もが右近を殉教者とみなし、盛大な葬儀が行われたところを読み進めていくあたりで、思わず涙が流れてきました。先日、ある方に小豆島における右近潜伏の地かもしれない場所に案内していただきましたが、その方は祖母から「九州へ行ったお殿様を慕っていた」という話を聞いたことがあると言っていました。清冽な魂の持ち主が右近なのです。2012/06/30
がんぞ
7
ぺかど·おりじなる(原罪)を最も多く持ち自覚しているのが信長公ではないか。「善悪を判別する知恵の実は人を傲慢にする」/光秀が信長討ちを「仏敵」とするなら秀吉につくしかない/秀吉の茶室で茶坊主となった荒木村重と再会。右近を罵倒する荒木にさすがの秀吉も立腹。茶道は両人とも達人『へうげもの』要参照/住民2万5千のうち1万8千が伴天連になった高槻から明石に転封ののち、秀吉は「改宗しなければ剥奪」と通告。帰国を拒んだオルガンチノ師とともに小豆島に隠棲。やがて前田利家に預けられ小田原攻で功績/家康により追放、比島で没2019/03/20
大工のおかみさん
0
上下巻読了した。織田信長のいる戦国時代物だが、キリシタンに改宗した高山右近の最後までゼウスを信仰し続けて海外でその生涯を終える様子に感動した🙋2024/08/30