出版社内容情報
心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて?んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。
内容説明
心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女―。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。
著者等紹介
金原ひとみ[カネハラヒトミ]
1983(昭和58)年、東京生れ。2003(平成15)年、『蛇にピアス』ですばる文学賞。翌年、同作で芥川賞を受賞。’10年、『TRIP TRAP』で織田作之助賞、’12年、『マザーズ』でドゥマゴ文学賞、’20(令和2)年『アタラクシア』で渡辺淳一文学賞、’21年『アンソーシャルディスタンス』で谷崎潤一郎賞、’22年『ミーツ・ザ・ワールド』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
142
『コロナに関する意見の食い違いは、その芽衣の自己中心的な資質を浮き彫りにした』。2020年に突如世界を襲った『コロナ禍』。この作品では、人と人との距離をとることが求められた時代にあって、敢えて人との距離間の大切さを見る五つの物語が描かれていました。『コロナ禍』に対する金原ひとみさんの思いを具に感じるこの作品。”絶望の果てに暴走”した五人の女性たちの苦悩を描くリアルな描写に驚く他ないこの作品。読者の心に鋭く突き刺さってくるような圧倒的な筆致の中に、金原さんの魅力を改めて感じさせてくれた素晴らしい作品でした。2024/07/15
はっせー
75
ヤバい本を読んでしまった。読み始めたら飛んでしまい、読み終わったらキマッてしまった。そういう本にはなかなか出会えない。おそらく20代~40代の女性はかなり刺さる本だと思う。ストゼロ。ルッキズム。不倫。コロナ禍の恋愛と就活。うんうん。読みながら刺さる~って思いながら読んでいた!コロナ禍という生きている私達が想像していなかった体制に変わり否応なしに変化させられた。そのなかでも反抗しようとする心をうまく描いておりとても充実した読書時間であった!2024/05/08
Kano Ts
31
面白かった。金原ひとみさんの作品は4作目ですが一番刺さった作品でした。不倫や整形など登場人物の状況は全く理解できないんですが、彼ら・彼女らの気持ちというか苦しみというか、追い詰められるような切迫感に何故かものすごく共感してしまいます。何というか金原さんの作品は明確な救いがあるケースは少ないのに、生きることを肯定してくれる、人間賛歌的な思いが込められているんじゃないかと勝手に思っています。その部分が刺さる人と全く刺さらない人を分ける要素なのかなと。人を選ぶ作家・作品なんだろうなと言うのも分かります。2024/02/03
Kanako
29
やばい。この本自体がもうストロングゼロでは?っていうくらいの破壊力。表面上は普通に生きていたのに、恋愛や性欲に翻弄され、どうしようもなく巨大な不安や恐怖から逃れるため、美容整形に酒に激辛料理に溺れていく女性たち。アウトローでやばい奴らと片付けることは簡単だし、自分は登場人物の誰とも似ていないはずなのに、そこに現代の人間の本質に迫る何かがあると感じさせる。彼女たちを通じて、現代における「人間とか何か」を見せつけられている気がする。朝井さんの解説が的確で表現が巧すぎて、二重の意味で作家すげぇ…ってなる本。2024/03/04
梅ちゃん
25
『蛇にピアス』が芥川賞を2004年を取った時に読み、私には合わないと思ってから金原作品は読んでません。 最近読友さんになってくださった方のレビューを見て、この作品を読んでみた。 あれっ、いいやん! 5つの短編集。紡ぎ出される言葉のリズムが好き。 アルコール依存、整形、心中、セックスにもがく女性の姿。 私もあれから20年たち、昔は想像もできなかったこれらの人たちを少しはわかるかなと思えるようになってきた。これを紹介してくれた読友さんが他の作品を勧めてくれてるのでそちらも読んでみたいな。2024/06/19