内容説明
日本の「大衆社会」は、新たな段階に突入した。三流大学が増殖し、物を知らないバカでも大学に入ってしまう。さらにネットという匿名の場の出現により、バカが堂々と意見するようになった!だが本当に「愚民」を呼ばれるべきは、大衆に媚びる、軟弱な「知識人」どもではないのか!?世間を敵に回す覚悟で彼らの欺瞞を叩く、過激かつ痛快な大衆論。文庫化にあたり補論を追加した。
目次
序 大衆論とその後
第1章 バカが意見を言う世の中
第2章 迷走する階級・格差社会論
第3章 日本の中間階層文化
第4章 「近世」を忘れた日本知識人
第5章 「説得力ある説明」を疑え!―カール・ポパー復興
第6章 他人を嘲笑したがる者たち
第7章 若者とフェミに媚びる文化人
第8章 マスメディアにおける性と暴力
第9章 アカデミズムとジャーナリズム
第10章 禁煙ファシズムと戦う
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962(昭和37)年茨城県生れ。東京大学文学部英文科卒業、同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術博士。現在、東京大学非常勤講師。2002(平成14)年、『聖母のいない国』でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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魚京童!
18
http://kuzirappa.blog.fc2.com/blog-entry-1426.html2014/02/09
ichiro-k
15
同意できる個所あるが、放言もあり。知り合いになりたくない人物。2013/03/02
左手爆弾
7
本人も自白している通り、神経症気質なのだろう。内容を短く表すと「イライライライライラ...」といった感じ。各論に見るべき議論もないわけではないが、全体として「東大を卒業して常勤職をやってる人間」「ウケてる作家」への愚痴(正しい批判の箇所もある)が目立つ。結局、問題なのは愚民に媚びる一流大学を卒業した知識人なんだ!とか言い出した時は、どうすればいいのかわからなかった。あえて言えば、愚民とそれに媚びる奴らの「共犯関係」で成立するのが「愚民社会」なのであって、その関係を見定めなければ意味がない。ただのイライラ。2014/07/15
kenitirokikuti
5
図書館にて。元になった季刊雑誌への連載は「大衆社会を裏返す」は2002年7月号から04年4月号。同年8月に単行本化し、07年1月に文庫化▲911からアフガニスタン戦争、イラク戦争。2ちゃんねるとmixi、はてな。禁煙。近代批判の社会学。わたしは小谷野氏よりも10才ほど年下だ。ぎりぎり「文学」が認識できるが、もう助走をつけて跳んでも足が届かない距離がある▲2ちゃんねるとmixiが死んだとは言わないが、この2020年における東方とアイマスの継続っぷりに比べると、先見するのはむずかしいなぁ、と思う。2020/09/09
肉欲棒太郎
4
超面白い。帯文に「誰も言えなかった「正論」を、いま、世の中にぶちまける!」とあるものの、文庫版あとがきで「やたらと「本当のこと」を言って他人を傷つけてもいい、というのは間違い」と著者も言うように、昨今巷に溢れる凡庸な「反サヨク」「反PC」本の類とは一線を画している。「ポストモダニズムは「やけくそ哲学」」には笑った。2016/11/30