内容説明
松本治一郎。明治20年福岡に生れ、昭和41年没す。大衆の手による差別撤廃を掲げた全国水平社を率い、戦後は初代参議院副議長、部落解放同盟委員長を歴任。イデオロギーに流されず、人間の尊厳を見据えた“あらまほしき日本人”―。人権史に屹立する「部落解放の父」の生涯を、新資料も駆使して現代に甦らせる画期的評伝。上巻は「徳川家達暗殺陰謀事件」など昭和初期までを収める。
目次
第1章 部落の子
第2章 新たな地平
第3章 水平社誕生
第4章 錦旗革命
第5章 入獄
第6章 軍隊との闘争
第7章 天皇直訴
第8章 請願行進千二百キロ
著者等紹介
高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958(昭和33)年、宮崎県高千穂生れ。学生時代は探険部に所属。’95(平成7)年と’98年の二度にわたり雑誌ジャーナリズム賞の作品賞を受賞。’99年刊の『火花 北条民雄の生涯』で大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
38
実は二度目の読了。非差別部落解放運動と、そのリーダーだった松本治一郎のはなし。感想は下巻を読んでからにするが、彼らの熱量に圧倒さらる。2020/10/13
きいち
18
「人の世に熱あれ、人間に光あれ。」水平社宣言を結ぶこの言葉は何度読んでも胸が熱くなる。もともと平等実現の一点のみに立っていたはずの水平社はその後、共産主義と国家主義の揺さぶりで苦難の歴史を歩むけれど、戦中戦後にわたり柱として運動を支え続けたのがこの松本治一郎。高山の丁寧なルポによって、それが可能だったのは、松本の行動が体系や理念ではなく、結婚や仕事など誰にとっても切実な問題をベースにし続けたものであったからだとわかる。「(松本は)理論家というものを疑っていた」。ここにもまた、妥協を恐れぬリアリストがいる。2013/12/06
モリータ
10
◆松本治一郎(1887-1966)を中心に部落解放・水平社運動史をたどる。著者はノンフィクション作家。'01-'03「新潮45」連載、'05年単行本、'07年文庫刊。◆宮崎学『近代の奈落』で描かれた柏原三青年の活躍や、先鋭たる平野小劔・高橋貞樹の動きのほか、福岡連隊爆破事件や高松裁判事件などの重要事件の流れもよくわかる。北原泰作ら共産党シンパの青年同盟・全国水平社解消派は批判的に描かれる。◆激しい差別への抵抗、官憲の弾圧、天皇制との間合い、党派的もみ合いのなかで浮かび上がる、松本治一郎の人柄と資金力。2021/06/06
うたまる
5
「おれたちはエタの子孫や。エタ、エタやけん、こういうふうに差別される。いじめられた上に、ひどい目に遭わされる」・・・部落解放の父と称される松本治一郎の伝記。上巻での彼の行跡とは、一口に言うとヤクザの親分そのものだった。彼と水平社の糾弾活動には暴力の臭いが濃密に漂い、それは現在にも繋がっている。しかし誤解してはいけない。当時は軍、警察、そして一般社会にも暴力的気質が蔓延していたのだ。生涯差別に苦しみ「世の中を呪え」とまで言って死んでいく部落民の窮状を打開するのに、口先だけの平和主義など何の役にも立たない。2016/09/20
ポンポコ
4
先般亡くなった松本龍(元衆議院議員)氏の養祖父であり、部落解放運動の父・松本治一郎氏の生涯を描いたノンフィクション。イメージしていた運動家の像とはおよそ異なる。貧しき被差別部落の人々のために会社を興して仕事をつくり、孤児や浮浪者や身分に関わらず炊き出しをし、頼ってくる者あれば家に住まわせる。自らは質素な生活をしながら、解放運動に資金をつぎ込む。演説は不得意、理論家や共産党は嫌い。オヤジと呼ばれていたように、運動家よりも親分。自らが投獄されても人を思い、人から慕われる。すごいオヤジだ。2018/08/24
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