出版社内容情報
近所にあるパン屋をめぐる彼の変化を私が描く「楽観的な方のケース」。突然の訪問者が繰り広げるラップに衝撃を受け、横浜の街に思いを巡らす「ショッピングモールで過ごせなかった休日」。人はいつだって誰かの思いや言葉、記憶の中の場所に思いをはせるものだーー。実存や不可能性を超越した、第35回三島由紀夫賞受賞の表題作を含む全5編の短編集。多和田葉子氏との特別対談も収録!
内容説明
近所にあるパン屋をめぐる彼の変化を私が描く「楽観的な方のケース」。突然の訪問者が繰り広げるラップに衝撃を受け、横浜の街に考えを巡らす「ショッピングモールで過ごせなかった休日」。人はいつだって誰かの気持ちや言葉、記憶の中の場所に思いをはせるものだ―。実存や不可能性を超越した、第35回三島由紀夫賞受賞の表題作を含む全5編の短編集。多和田葉子氏との特別対談も収録!
著者等紹介
岡田利規[オカダトシキ]
1973(昭和48)年横浜生れ。演劇作家、小説家。主宰を務める演劇カンパニー・チェルフィッチュは、国内外で多くの注目を集める。2008(平成20)年、初の小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』で大江健三郎賞、’22(令和4)年、「ブロッコリー・レボリューション」で三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もぐもぐ
48
人称の使い方が独特で、内容もなかなか難解でした。表題作は第35回三島由紀夫賞受賞作。暴力的な”ぼく”から逃れバンコクへ去った”きみ”について、知り得ないバンコクでのきみの姿を詳細に語るぼくの言葉が妄想と現実の間で響き続けてる。他の短編も不思議な雰囲気だけど、ピンポン押されていきなりラップかまされるのはホラーだ😅2025/04/24
だーい
43
the純文学。読みにくかった。その理由は奇妙な語りである。二人称の小説ってこんな不思議な感じなのか。読みにくかったけれど少しずつ読み方が分かってくるような…一定のリズムがある…?と思いながら読了。ブロッコリーレボリューションは「ぼく」の視点からそこにはいない、知り得ない「きみ」についてタイでの滞在について書かれた話。きみのことは知り得ないのにぼくがあたかも経験したかのように淡々と進んでいく、そこはかとない奇妙さ、不気味さがこの小説の醍醐味なのだと思う。1、2編目は割と面白かった。2025/03/16
小太郎
37
小説初心者が書くときに最初に注意されるのは、人称をあやふやにするなという事だとしたら。この小説は問題ありだと思います。一人称で書いていても自分(人称者)の知らないところで物語が語られているのがまず変!勿論作者はそれを意識して行っているし、それが独特の味になっているのは間違いありません。この5編の短編集を読んで、物語を縛っているもの(私たちが勝手にそう思っている)から解放されるのは、ある意味とても不思議な読書体験でした。最後の多和田葉子さんとの対談は現代文学の新しい方向性を垣間見られて刺激的でした。★3.52025/02/08
真琴
12
「ぼくはいまだにそのことを知らないでいるしこの先も知ることは決してないけれども」という一文が何度も繰り返し語られる。「きみ」は、暴力的な「ぼく」から逃れるために、タイのバンコクへ渡る。「ぼく」の知らない「きみ」のバンコクでの暮らしを「ぼく」は語る。不思議な小説だった。村上春樹っぽさを感じた。2025/05/05
LIBRA
9
何だか異次元の小説を読んでいる様な気になった。次回作などを読んでから、理解したいと思った。2025/04/05