内容説明
弟は帰ってきた、二十四年ぶりに“あの国”から―。海岸で忽然と消えた弟は、どこへ行ったのか。全くの手探り状態から、徐々に明らかになる驚愕の真相。立ち塞がる国交の壁。無為無策の日本政府との軋轢。そして再会の後に待っていた、“洗脳”との新たな苦闘…。北朝鮮による卑劣な国家犯罪「日本人拉致」に巻き込まれた家族の闘いを、兄が綴る。文庫化にあたり新事実を大幅加筆。
目次
プロローグ 帰ってきた弟
第1章 二十四年間の“洗脳”
第2章 「あの日」まで
第3章 薫は、どこへ…
第4章 謎の国・北朝鮮
第5章 「二つの国」との闘い
峡6章 同じ日本人として
第7章 戻らぬ歳月
エピローグ 弟と話したこと
著者等紹介
蓮池透[ハスイケトオル]
1955(昭和30)年、新潟県柏崎市生れ。東京理科大学電気工学科を卒業後、エネルギー関連会社に入社。’97年(平成9)年より「『北朝鮮による拉致』被害者家族連絡会」事務局長。現在、同会副代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
49
拉致被害が発覚したのが大韓航空機事件での金賢姫の供述でした。 それからの長い時間を考えると、被害者家族の「行方不明になり生死が判らないのが、いかに苦しいことか、いっそ死んだと判った方が楽」という言葉、本当にそうだろうなと思いました。 「自分たちだけ帰ってきて忍びない」辛いですね。 日本政府も水面下では色々頑張っていたと信じたいです。 だからこそ5人の方々と、そのご家族も日本に帰ってこられたのですから。 残りの方々全員が帰ってこられるように、ある日突然東ドイツのような奇跡が起こって欲しい。2015/09/29
sasha
9
突然、弟が姿を消した。家族に心当たりはない。その弟が北朝鮮による拉致被害者であるのではと判明したのは失踪から10年後。拉致被害者家族のの筆になるだけあって、弟・薫氏の失踪後の不安や苦悩、拉致被害者であることが判明してからの政治家や官僚に対する苛立ちや怒りが率直に綴られている。北朝鮮という無法国家に対し、なんの策も持たない無能国家である日本政府の罪も重いのではないか。小泉政権下での5人の帰国で拉致問題は解決したくらいにしか思ってないのかも。そして自分たちの都合のいい時だけ拉致問題を持ち出すのが日本の政治家。2018/05/09
Ted
4
'06年5月(底本'03年4月)刊。○2013/07/05
のぞきねこ
3
拉致被害者家族会の事務局長をされていた、蓮池薫さんのお兄さんの著書。残された家族の側からの視点で語られる。突然家族が失踪し、事件か事故かわからぬまま過ごす苦悩、拉致被害者とわかってからは北朝鮮と日本政府との戦い。拉致された本人と同じようにつらい24年間だったと思う。2023/03/13
なつ
2
全編を通じて貫かれているのは日本政府の不作為に対する憤りである。複数の政治家を名指しで批判しているのは、著者も当事者の一人であるのでその分を差し引いて読む必要があるにしても、出版から10年近く経つ今も状況がほとんど動いていないことを考えれば、さもありなんという気もする。個人の利益よりも集団の利益が優先するのは当然のこととはいえ、国民から見てこの不作為が国益を守らんとするがためではなく、単なる無策の結果としか思えないところが悲しい。2012/10/27
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