感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
16
徴兵されて軍艦のめしたき兵となった人の回想録です。たくさん添えられているイラストも魅力的で絵が上手いなと思っていたらプロの方でした。下っ端で、しかもめしたき係なので、大砲が飛び交う戦闘シーンはほぼなし。むしろ真珠湾のときにも料理、ミッドウェーのときにはひたすらおにぎりをつくっていたという裏方っぷりです。しごきはあるし、歯車の1つになってしまう軍隊のあり方、明日をもしれない恐ろしさなどもユーモラスにきちんと書いてあるので、戦争物としても取り付きやすいのではないかと思います。もちろん読み物としても面白いです。2016/03/01
こまったまこ
13
海軍に徴兵され最下級のめしたき兵として軍艦霧島で戦争に携わった方のイラストエッセイ。その珍しさに手に取ったが、とても興味深かった。まず前半の霧島艦内での理不尽なしごきに驚愕した。過酷な状況を綴っているのにコミカルなイラストとあっさりとした文章で悲壮感を和らげている。甲板より下で働く兵隊は戦況を知らされることもなく真珠湾の時はお味噌汁、ミッドウェイの時は五目飯を作っていたというのが面白いし、そんなものなのかと驚いた。海戦後に燃えながらも同航している航空母艦を目撃したシーンがとても印象的だった。2015/04/23
白義
13
霧島のめしたき兵だった著者の体験した、しごきと賄賂が横行するような、過酷で猥雑なのにユーモラスな軍艦生活がイラストと共に描かれている。作戦や戦術とはまた次元が違う、底から見た戦争の実際を体感できる。戦争の流れはあまりわからなくても、それを支える激務から身体の疲労した感覚まで伝わるように、軍艦での暮らしが伝わってくる、皮膚感覚の戦争というものがものすごくよくわかる名著。霧島を降りたあとも砲艦武昌丸に乗り込み、沈没したあとは鮫に足を噛まれながらも生き残る著者の強運もすごい2014/07/22
どんまいシリル
10
組織は軍隊から発展?したとは、よく言ったものだ。考えられない体罰や、理不尽な規則。戦争の裏側を垣間見た気分だ。自分の戦艦以外全部沈んでしまった話をしてくれた老人がいたことを思い出す。もっと、詳しく知りたかったなぁ。こういう底辺の戦争の話は貴重である。お気に入りさんの感想のおかげで知り得た1冊。感謝。2016/08/08
むらさめ
10
戦艦霧島で主計兵(めしたき兵)をしていた筆者の体験記。あまり表に出てこない戦艦での生活の裏舞台が詳らかに記されています。非常に興味深く読みました。 多くの人が死ぬから戦争はダメだ、というよりもブラック企業も真っ青な強烈で理不尽なしごきがまかり通るこんな状況になりたいか?と言われた方が物凄い抑止力になる気がする…。戦時中を記した本として一度は読んでみても良いと思われます。2014/12/09