新潮文庫
大洋に一粒の卵を求めて―東大研究船、ウナギ一億年の謎に挑む

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101260068
  • NDC分類 487.66
  • Cコード C0195

出版社内容情報

直径わずか1.6ミリ。幻の卵を求め太平洋を大捜索! ウナギ絶滅の危機に挑み「世紀の発見」をなしとげた研究者の希有なる航海。

海で孵化して半年、その後姿をかえて川で十年、再び海へ産卵に戻る不思議な生態のウナギ。何千キロも大洋を回遊するウナギ最大の謎はその産卵場だった。海の塩分濃度、海底山脈の位置、月の満ち欠け。様々な仮説の検討の結果、浮かび上がってきたのは西マリアナ海嶺の南端部の海山域だった。広大な海で直径1.6ミリの卵を探しあてた世紀の大発見の軌跡。「世界で一番詳しい ウナギの話」改題。

内容説明

海で孵化して半年、その後姿をかえて川で十年、再び海へ産卵に戻る不思議な生態のウナギ。何千キロも大洋を回遊するウナギ最大の謎はその産卵場だった。海の塩分濃度、海底山脈の位置、月の満ち欠け。様々な仮説が検討され、浮かび上がったのは西マリアナ海嶺南端部の海山域だった。広大な海で直径1.6ミリの卵を探しあてた世紀の大発見の軌跡。

目次

第1章 なぜ、動物は旅に出るのか―ヒトも魚も「脱出」する
第2章 ウナギの進化論―深海魚がウナギになった?
第3章 二つのウナギ研究―大西洋と太平洋
第4章 海山に「怪しい雲」を追う―三つの仮説、検証の一四年
第5章 ハングリードッグ作戦―幸運の台風遭遇
第6章 ウナギ艦隊、出動ス!―世界初の天然卵採集、親ウナギ捕獲
第7章 なぜウナギ資源は減少したか―原因の究明と研究の進展
第8章 ウナギ研究最前線―研究はエンドレス
第9章 ウナギと日本人―保全のために今私たちができること

著者等紹介

塚本勝巳[ツカモトカツミ]
1948(昭和23)年岡山県生れ。農学博士。専門は海洋生命科学。’71年東京大学農学部水産学科を卒業、’74年東京大学大学院農学研究科博士課程を中退後、同年、東京大学海洋研究所の助手。’86年助教授、’94(平成6)年教授に就任。現在は日本大学生物資源科学部教授。独自の「海山仮説」「新月仮説」「塩分フロント仮説」に基づき、世界で初めて天然ウナギの卵をマリアナ諸島西方海域で採集することに成功。その研究功績から、2006年日本水産学会賞、’07年日本農学賞・読売農学賞、’12年日本学士院エジンバラ公賞、’13年海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)など多数の賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

UK

36
うなぎの産卵場所の謎を科学的につきとめるお話。生真面目な学者っぽい叙述もいいのだが、終盤の”研究者=オタク”としての本音に凄く共感する。これだよね。こういう意味のない、ただスキという衝動が歴史を創って行く感がとてもいい。この調子で全編書いて欲しかったかなあ。むろんこれはこれで興味深い本なんだけど、そうすればこの3倍面白くなったと思う。2017/08/13

七月せら

14
広い海のどこかで生まれ、日本の川まで長い旅をしてやってきて、また海に還っていくウナギ。彼らが生まれるその「どこか」を突きとめるため、様々な調査を行い、仮説を立て、いろいろなアプローチで追い求めた研究の足跡が分かりやすくも面白く記されていてわくわくしました。ウナギは美味しい食べ物であると同時に、デリケートで貴重な水産資源であることを忘れてはいけないと感じます。2020/06/19

bb

13
大海の一滴、しかも時限つき(ウナギの卵は1日半で孵化してしまう)という気の遠くなる話だが、十数年もの奮闘と蓄積によって着実に範囲を絞り込み、仮説を立てて目標に到達する。塩分濃度の境目で産卵場を知るとか、稚魚(レプトセファルス)がマリンスノーを食べているとか、そんな生態まで克明に描けるのか、と感銘の連続だった。「研究者」と「学者」の違いを十分に認識していて、自分は研究者=好奇心>社会貢献だと自覚しつつ、それでも保全に注力していくと宣言している。未来は楽観視できないが、この人の言動にはなにか希望が持てる。2015/07/24

さきん

12
ウナギの研究の中心に立ってきた著者の一般読者にウナギの研究を紹介した本。いままで新聞などで断片的にしかわからなかったウナギ研究が本書で詳しいところまでよくわかった。現在は,卵からの養殖を高い生存率で達成することが課題のようである。副産物として、ウナギの系統解析が進んだことも漁業としてあまり関係ないが、学術的意義は大いにあったと思う。2015/08/07

tsubomi

8
2016.10.03-10.12:魚類を含む動物の“移動/回遊”とは何か?から始まり、ニホンウナギの産卵場所を確定すべく海洋学、地学、生物学、気象データなどを駆使して、大学間の垣根も国境も越えて研究者たちが奮闘する様や、ウナギを巡る課題をわかりやすく解説。一歩ずつ謎が解けていく様に著者と共に興奮しながら読みました。孵化した幼生が成長しつつ川へ戻ってくる過程で実は海に留まる者の方が多数であることに驚き。かつて深海魚だったウナギの謎に満ちた生態が解明され、これからもヒトと共生していけますように。2016/10/12

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