内容説明
『吾輩は猫である』は長くて歪だ。『坊っちゃん』は俗っぽいし、『門』は暗くてわかりにくい。『こころ』には女性軽視の傾向が…。実は難点ばかり!?の夏目漱石が、日本で百年以上も読み継がれている人気の秘密とは?代表的13作品を例に、その創作技法から文章術、作者の心理、作品の完成度までを阿刀田節全開で平易に解説。スラスラ読めて明日から語れる、目からウロコの超入門書。
目次
猫の近道を訪ねて―“吾輩は猫である”ほか
小説の技をちりばめて―“坊っちゃん”ほか
おみくじを引こう―“草枕”ほか
絢爛豪華な文章で―“虞美人草”ほか
小説は男と女のことを書くもの―“三四郎”ほか
さざ波は渦となって一点へ―“それから”ほか
深読みをしてくれますか―“門”ほか
夢のあとさき―“夢十夜”ほか
ユニークな短編連作集をどうぞ―“彼岸過迄”ほか
摂理を探して―“行人”ほか
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935(昭和10)年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、’78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。’79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞、’95(平成7)年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
55
漱石の作品には『坊ちゃん』から入り、再読も含めて2016年の夏までに『明暗』下巻までを読み終えた。その上での本書である。良くも悪くも引用が多い。読んで記憶が甦るところと、まったく記憶に残っていない部分があった。古今東西の様々な物語に精通する著者の目線は、当然のことながら自分の何倍も深く漱石を見ていて参考になる。著者の独断と偏見の六角評価図(レーダーチャート)も面白いが、私の好きな『吾輩は猫である』が低評価なのが悲しい……2020/07/14
ソーダポップ
41
阿刀田高さんの、知っていますかシリーズ。はっきり言って、小説は上手くない。じゃあ、なにが凄かったの?から始まり「吾輩は猫である」から「明暗」まで13作品に渡って阿刀田さんがぶった斬る。文の上手さは認めつつ、ストーリは大したことないなどと各作品を冷静に評価する阿刀田さん目線に笑ってしまった。2021/03/26
みこ
19
阿刀田高氏による漱石作品の解説本。紹介されている作品はすべて読んだはずなのに自分の読み方がいかに浅いかを思い知らされることになった。一番好きな小説は三島の「金閣寺」だし、新刊が出たら必ず飛びつくのは伊坂幸太郎、東野圭吾、平野啓一郎という面々だけど、やっぱり自分の一番好きな作家は夏目漱石だなと再認識。幸い20年以上前に買った古い文庫本は健在なのでこれからも読み返していこう。2020/09/01
雲をみるひと
10
知っていますかシリーズの漱石編。内容は漱石の主作品のあらすじ紹介と解説。必須が好きな漱石作品を解説した編がそうでない作品に比して解説がわかりやすいように多分に作者の主観が含まれているが、未読者がどの漱石作品を読むか決める上での参考になると思う。2020/12/07
MIKETOM
5
漱石の主要な13作品を初心者にもわかりやすく解説した恒例のシリーズ。猫、坊ちゃん、草枕、それから、三四郎、ETC。ただし、漱石といえば坊ちゃんしか読んだことのない俺にとってこの本はややハードルが高かった。作品本文を引用するのは当然なのだが、なんせ明治の文体そのままなのでやたらくどくて理屈っぽくて長ったらしい。ちょっとね~ウザく感じた。阿刀田は各作品のモチーフをうまく掬い上げてるが俺にはあまりよく理解できなかった。理解できたのはせいぜい「こころ」ぐらいかな。漱石作品、特に読んでみたいとも思わなかった、残念。2024/09/01
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