内容説明
幕末期、勤皇派の薩摩藩士の企てを上意によって阻止せんとした寺田屋の変。辛うじて生き残った志士たちが、長州との勢力争いのため、迎えることを余儀なくされた無残な最期とは(「遺恨の譜」)。詰め腹を切らされた父の無念を晴らすべく、主君の死に際してご法度となっていた追腹を願い出た武士の心情を綴った、著者のデビュー作(「高柳父子」)。哀感あふれる名作九編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くりっちぃ☆
1
やはり「下野さまの母」が好きだ。「鶴姫」は女性目線であるものの、やはり男性社会、武家の厳しさが際だつ。タイトルにもなっている「遺恨の譜」は幕末の血生臭いアレコレが痛々しい。…昼食のお供には不向きであった(+_+)2011/12/14
renren
1
★★★「士道」=「武士世界の理想」の実現のためにどれだけの血と涙が背景にあったかを容赦なく抉り出す。我儘、無邪気さ、愛情、慕情、すべてが「士道の敵」となる哀しさ。思いやりすら例外ではない。誰かの小さな思いやりが、やせ我慢が、次の悲劇を産む。圧倒される世界。「下野さまの母」「鶴姫」「仲秋十五日」すばらしい。同性ゆえか、男の意地よりも女の優しさと涙に惹かれているらしい。2010/06/17
spoon
1
これは単なる時代小説ではない。武士という枠組み無しでは語れない物語が展開されている。2010/05/26
ダラの読書
0
武士の社会構造が持つ鬱屈に焦点を当て、これから逃れようとする必死なもがきのエネルギーを描き出す。 無骨な力強さがほとばしる力作。 この本は面白いですよ。2014/10/06
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